入社まもない平社員A(40代前半?)が「部長が留守の時は部長室を使います」と宣言するという信じられないことがありましたが、シニアマネジャーが「アリエナ~イ!」と一括してくれたので、その件は片付きました。一応そのようなことを言いだした理由を聞きましたら、「普通のデスクでは回りがうるさくて仕事にならない」のだそうです。国境なき医師団の事務所は静かでそれぞれ個室が与えられるという結構な環境なのでしょうか?それに、Aがそれほど大した仕事をしていたかというとそんなことはありません。

 

それから約1週間後、「あの人、変です」と入社1年の大人しい社員のBさん(23歳)がコソっと私に言ってきたので、「確かに変だとは思うけど何かあったのですか?」と聞きました。Bさんはちょっと迷っているような表情を見せましたが、「女の方(つまり私)に聞いて頂くのはちょっと恥ずかしい、というか、何で僕が恥ずかしがらなくちゃいけないんだか・・・」というので、「は?」と私が言うと「昨夜残業をしていてフト気が付いたら10時近くなっていて、この辺にいたのはAと僕だけになっていたんです」とやや緊張気味に言うと、「信じてもらえないかもしれないけど、本当の話で、怖かった~」と以下の顛末を話し出しました。

 

AがBさんに突然、「この辺で下着を売っている店を調べてほしい」と言ったそうです。オフィスは渋谷駅から3分ですから、昼間であれば、下着であろうが上着であろうが売っているお店はいくつもあるでしょうが、「夜の10時近くでは開いているお店があるかどうか?」と思いながらもBさんは「逆らうと怖そう」と思って3件のお店の電話番号をネットで調べてAに教えたのだそうです。「自分で調べて、って言えばよかったのに」と私はBさんに言ったのですが、「だって、あの人変だから、とにかく早く逃げ出したくて」とのことで、わからないでもありません。

 

3店のうち2店はすでに閉まっていたらしくて応答がなく、最後の1店には電話が通じたようです。Aは電話の相手に「これから下着を買いにいくからそれまで店を開けておくように」と頼んだのですが、お店から「もう閉店時間ですので、明日お越しください」と言われたようなのです。そして押し問答の末にAが「今すぐに行くと言っているのになんでそれまで店を開けていられないのか?!僕は明日履くパ○ツがないんですよ!」と怒鳴り、Bさんは怯えて動けなかったそうです。Aは「これから行くので絶対に店を閉めないように」と一方的に言うとガッチャンと電話を切って出かけたので、Bさんは脱兎のごとく逃げ出しました。

 

その後Aが下着を買えたかどうかは知りませんが、これはまあ、「やっぱりおかしいわ、あの人」という程度の出来事でした。大人しくて超真面目なBさんには気の毒でしたが。しかし、その後Aがしたことはある種の犯罪で私にとっても大迷惑でした。(続きます)