ベルテンポが福祉や介護の会社ではありませんと断言すると、

福祉や介護のプロフェッショナルの方に失礼かと言えばそんなことはありません。

 

福祉や介護、そしてもちろん医療領域の専門性は何ものにも代えがたく、

素人が口を挟めるような話ではないからです。

 

同様に、私たち旅領域の側の人間としては、

「旅行って、そんなに簡単なものじゃないと」と心の中で思うのです。

 

良く、

 

「私、旅行のプランを作るのが大好きなんです。」

「サークルでもいつも幹事役でした。」

 

とおっしゃる方がいますが、

その延長戦上に、旅行業がある訳ではありません。

 

友達と旅行に出かけるプランを作るのに、

「友人の命をお預かりしている責任」を感じて

その役回りを引き受けている訳ではないでしょう。

 

ロストバゲージや

フライトキャンセルや

体調の急変で救急案件となった時に

顔色一つ変えずに粛々と最善の段取りを

組む訓練を日ごろからしている訳でもありません。

 

つまり、

餅は餅屋、なのです。

 

私は痰の吸引はサポートしませんし、

お客様のトイレ介助もしません。

 

「お気軽にご用命ください」

 

と言えるような話ではないからです。

 

このベースがあったうえで、

バリアフリー旅行やユニバーサルツーリズムを

考えるときの、最上位の概念は

 

『機会均等』に尽きる訳ですし、

その次に来るのが、

 

『旅と言うイベントへの価値観の提示』

 

だと考えています。

 

価値観の提示は、まさに今日のブログのタイトルである

 

「段差解消よりも大切なこと」は何かを、

一緒に旅する人と話し合っておくことです。

 

もう15年くらい前になりますが、

バリアフリー旅行北海道と銘打って、

主に車イスユーザーの方と旅をご一緒しました。

 

旅程の2日目、地元で評判のレストランで昼食を頂いたのですが、

レストランの入り口に3段ほど段差がありました。

 

レストランの中はフラットだったのですが、

帰着後のアンケートに

 

「段差のあるレストランを使うような旅行をバリアフリー旅行とは呼ばない」

 

と怒りに満ちた声を頂きました。

私はどうしたか、

 

お詫びはしません。

価値観の違いだからです。

 

では、それ以降、クレームを避けるために、

 

あそこには段差が3段あります。

ここには多目的トイレはありません。

どこそこには砂利の場所があります。

 

と逃げを打つ表示をしたか。

それもしませんでした。

 

私たちの業界では、このようなクレームを未然に防止するための

「逃げ」をパンフレットなどに記載することを、

 

デメリット表示と言います。

 

大手旅行会社のパンフレットを見ると、

パンフレットの中に小さな、老眼には優しくない小さな文字で、

 

写真はイメージです。(ふーん)

雨が降ると山がご覧いただけないことがあります。(そりゃそうだ)

窓からの景色は部屋によりことなります。(当たり前じゃ)

テーブルの上の花は料金には含まれません(花は喰わん)

オーロラは天候によりご覧いただけない場合があります(わかっとるわい)

 

デメリット表示のオンパレードです。

旅行気分も台無しです。

 

だから、こんな表記をすることはせず、

ベルテンポでは

「お客さまを選ばせて頂くことにした」のです。

 

段差が1段もない、完全無欠のおいしくないレストランと

段差が5段あるけど、地元で評判の行列ができるレストラン。

 

どちらに行きますかという話です。

 

とは言え、段差があっちゃ困る人がいるのも承知しています。

障害の程度はもちろんですが、

旅に対する「考え方」つまり、何を旅の価値と考えるかを

旅の仲間で合わせておくことが、

旅の成功には必須です。

 

これ、家族旅行とか

友達との旅行なら当たり前のことです。

 

その当たり前のことを、ベルテンポも実現するために、

価値共有できる仲間が緩やかに集まった、

旅行倶楽部を作ったのです。

 

「高萩さんの考え方が常に正しい訳ではない」

 

と私におっしゃった方がいます。

当然です、私は別に絶対善でも絶対正義でもありません。

 

添乗員が一緒に乾杯するなんてけしからんと思う人も正しいし、

添乗員が一緒に飲んでくれないなんて寂しいと思う人も正しいのです。

 

でも、

私は一緒に乾杯がしたいだけです。

 

価値観は人それぞれ。

みんな違ってみんないい。

 

大切なことは、機会均等。

ココさえ保障されたら、世の中はもっと住みやすくなるのです。

 

高萩徳宗