「ちょっと、翔ちゃん。待ってよ。
さっきの大ちゃん誤解したんじゃない?」



「・・・何を?」



「何を?って 、俺が翔ちゃんを誘ったみたいになって、
大ちゃんに断りもなく、ご飯に行くなんて・・・その・・・」




スタジオを出てすぐ拾ったタクシーの中で、
相葉くんが俺と智くんのこと心配してくれている。




「何言ってるの?お前だって、この前智くんと
カレー食いに行っただろ?」



「行ってないよ!
あれはニノに断られて悔しくて、大ちゃんに合わせてもらったの!」



「へ?そうだったの?」



「もう!翔ちゃん!大ちゃんが誤解したらどうするの?
今からでも、大ちゃんにちゃんと話した方が・・・」



「ちょっと待て!じゃ、俺は誤解しても良いのかよ?
あの日、俺は完全に誤解してたんだぞ!」



「翔ちゃんは幸せバカだからいいの!
でも、大ちゃんは・・・」



「・・・幸せバカって・・・お前は心配性だな。
大丈夫。ニノがちゃんと説明してるよ。」



「へ?ニノ?」



「今日のことはニノが言ってきたんだよ。
智くんとちゃんと話がしたいから、時間を作ってくれって」



「話って・・・」



「さあ?何だろうね」



「・・・・・」




相葉くんが真剣な顔になって黙りこくった。
ちょうど、タクシーが止まり目的地のカレー屋さんに到着した。




「・・・そんなにニノが心配?
どうする?戻る?」




俺はタクシーの運転手にお金を払いながら尋ねた。
相葉くんはハッとした顔をして、




「ううん、せっかく来たんだし、食べにいこ!
きっと翔ちゃんもハマると思うよ」



「・・・お前、食ったことあんのかよ?」



「ないけど、うまいって言ってたもん!」




相葉くんがうひゃひゃっていつもの笑顔で俺に言う。
店内に入り、オススメのメニューを注文した。




「最近どうなの?って聞くまでもないか。
翔ちゃん幸せがだだ漏れだもんね」



「だだ漏れって・・・まあ、幸せだよ?
合鍵交換したし。家に帰ると智くんが待っててくれたりするし」



「・・・それって一緒に住んでるってこと?」



「いや、まだ正式には。今はお互いの家を行き来してるって感じ。
でも、いずれは一緒に住みたいってもう伝えた」



「・・・ふーん。確かにニノの言う通りだな。
翔ちゃん、そのニヤけ顔なんかムカつくわ!」



「な!しょうがないだろ、智くんのこと考えると、
自然とニヤけちゃうの!」


「はいはい。ご馳走さまです」



そんな話をしてると、
注文してたカレーがやってきた。



確かにこれは癖になる味だ。
智くんが好きそう。



「・・・今、この味智くんが好きそうとか思ってる?」


「へ?・・・まさか」



相葉くんに図星されて、思わずそっぽを向く。



「顔に出過ぎだよ、本当に翔ちゃんは大ちゃんが好きだね」


「うっさい!そう言うお前はどうなんだよ?
ニノが好きなんだろ?」


「え?・・・なんだ知ってたの?
ずっとそばで見てたからね。ニノの気持ちはよくわかるって言うか・・・
大ちゃんを簡単には忘れられないって思うんだ」



「・・・・・」



「振り向いて欲しいけど、今はまだ・・・
ニノの気持ちが落ち着くまで、待つつもり。
俺の気持ちはもう伝えてあるしね」



「へ?告白したの?」


「したって言うか、言わされたって言うか・・・」


「・・・さすがニノだな」


「だから、ニノのためにも、2人には幸せになってもらわなきゃね。
ニノが変な気を起こさないように・・・」


「・・・もう大丈夫だよ。だってニノは・・・」


「ん?なんか言った?」


「・・・いや、って言うか、ここのカレーマジ旨いな‼︎
出前とか出来ないのかな?みんなに食わせたい!」


「出た!お母さん発言!」


「うっせえ。もう黙って食え!」




俺らはペロッと平らげて、

さらに違う味のを追加注文した。