SF作家ジェイムズ・P・ホーガン 逝去
己が優れた、幅広い視点による世界観を、文字通り世界中の読者に見せ付けた、ハードSFの巨匠です。というわけで、本日は巨匠のデビュー作にして至高の作品、「星を継ぐもの 」を紹介します。
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月面の、洞窟が崩れた土砂の下から、真紅の宇宙服に包まれた遺体が発見された。
遺体から確認できるすべての情報は、外見、骨の形状・配置のいずれの観点からも、人間であることは間違いない。
しかし、身元、死因、出生は一切不明であり、宇宙服の形状はどの国のどの団体にも適合するものはなかった。そして、地球外の人間である可能性もゼロではないとされる証拠が検出された。
仮名をチャーリーと名づけられたその遺体は、再三に渡るあらゆる年代測定方法を駆使した結果、5万年前に死体となったということに疑いの余地がなかったのだ。
原子物理学者ハントと生物学者のダンチェッカーを中心に、チャーリーの出生についての謎解きが開始された。
一方、木星の衛星ガニメデでは、地球の技術では作りえない宇宙船の残骸が発見された。
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僅かな証拠を元に、科学的根拠も交え、少しずつチャーリーの正体が推測されてゆくのですが、その仮定がとにかくすばらしい。
視点が鋭く、斬新で、深いのです。
途中、これは事実なのではないかと思わせる(尤も、事実ではないという証拠もありませんがw)ほど、巧妙な設定で、物語が展開します。
私は極力物事を斜めから観るように心がけているのですが、恐らくこの小説の影響があってこそだと思います。
捻くれている、という状態との紙一重の、天才的なひらめきとアイデアが満載の、ホーガン氏一番の力作であると思います。
なお、ガチガチのハードSFですが、そのワリには読みやすいと思います。
SFが好きな人はもちろん(というか既に読まれている方も多いかと思いますがw)、そうでない方も、モノの見方、思考方法を増やす切っ掛けになるかもしれません。
是非、お試しください。
そして、この才能が、まだ若くして(享年69才!)費えてしまったことが、非常に残念であります。
ジェイムズ・パトリック・ホーガン 氏のご冥福をお祈りいたします。
今日はここまで。
星を継ぐもの[創元SF文庫]
ジェイムズ・P・ホーガン (著)