これらのスプラッターについては、恐怖というより脅かしの要素が強く、ビビリな私は、あまり好きではありません。
霊魂モノも、どろどろした感があり、また、見えない方々が相手だけに何でもありな所もあって、あまり好きではありません。そもそも、霊が怖い存在だとは思っていませんので、ホラーにするのに無理がある、というか、受け入れ難いのかもしれません。
霊に失礼な感じさえしてしまうのです。
余談ですが、夏になるとよく、心霊スポットに潜入する趣旨のテレビ番組が放送されますが、あれこそ霊に失礼ですよね。冒涜といってもいい。
霊がいると感じられる思しき場所にわざわざ行って、キャーキャー喚く。
そんなことされては、霊じゃなくたって迷惑です。
静かに佇んでいたいだけかもしれないのに。
話を戻します(^^;
十数年前、書店を歩く私の視線に、『日本ホラー小説大賞 受賞作品!』の文字が飛び込んできました。
視線を向けると、オビに書かれている文字が目に入りました。
『生命保険は、人間の首にかけられた懸賞金なのか?』
ぞくりとしました。
早速本を手に取り、一旦置いて財布の中身を確認してw再び手に取り、レジに直行しました。
そのタイトルは、黒い家 。貴志祐介 氏が放つモダンホラーの傑作です。
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生命保険会社主任の若槻は、支店にて窓口業務とともに保険金請求の査定を担当していた。
ある日、若槻は、電話口で、中年と思しき女性から、保険についての質問を受けた。
自殺でも保険は降りるのか?という旨である。
女性本人が自殺することを懸念した若槻は、差出がましいと思いつつも、考え直すようを促した。
そう諭された女性は、若槻の名前を確認すると、電話を切った。
その後日、菰田重徳と名乗る男性が保険外交員の対応について苦情を唱えてきた、という連絡が入った。説明に来てほしい旨と、同時に、菰田は、説明者として若槻を指名してきたのだという。
菰田は確かに、若槻が勤務する保険会社の顧客であったが、若槻には一切の覚えがなかった。
忘れているのだろうかと不審に思ったが、顧客の指示を無視するわけにもいかず、菰田の家を訪ねることにした。
顧客名簿に記載された住所に向うと、そこには、異様な臭気を伴った黒い家があった。
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この本を買った翌日、急遽出張に行くことになり、電車内のお供にと持っていったのですが、帰りの電車内ではすっかり夜となってしまい、また、田舎の電車でしたので、一つの車両に数人しか乗客がいない状況になっていました。
そんな中、物語は終盤に差し掛かり、恐怖もピークを思わせる展開です。
若槻が、ある目的を晴らすために黒い家に潜入してゆくシーンがあるのですが、現実にあり得るあまりの怖さに、思わず本を閉じて周囲を確認してしまう有様。
気付くと、両腕と背中に鳥肌が立っていました。
何箇所か、ホラーの代表的な表現方法であるスプラッタもありますが、それよりも、カネと快楽に支配された自己満足を追求するために手段を選ばなくなった人間に対する恐怖感が掻き立てられ、それが理屈として成り立っているがために、逃げられない、リアルな恐怖感に襲われるます。
わりと有名な噂ですが、十数年前に起こった、和歌山県の砒素入りカレー事件の容疑者とされている女性の本棚には、この黒い家があったそうです。
そして、その事件の内容が、保険金目当ての殺人という点以外にも、酷似していたところがあったのだそうです。
事実、私も、この事件を知ったとき、黒い家にとても似ているなと思いました。
本当に怖いのは、人間。
そのことを思い知らされた、そんな作品でした。
なお、この作品は、日本と韓国で実写で映画化されました。
ただ残念なことに、日本版はそれほど恐怖感は感じられす、過激な演出に逆に笑っちゃいました。
韓国版は、観ていません。。。どうしようかなぁ。
今日はここまで。
黒い家-角川ホラー文庫
貴志 祐介