私は、スプラッターな映像は嫌いですが、そういう作風ではない恐怖モノという彼の作品を、そろそろ読んでみようかな~と考えていた矢先、知人から乙一 氏のホラーはルール違反だ、という話を聞きました。
曰く、ホラーには、恐さの演出に於いて一種のルールがあり、それがどういうものかを具体的に説明できないが、氏を読めば判る、というのです。
そんな折、別の知人が、乙一 って知ってるか?と聞いてきました。
名前だけは聞いた事あるがまだ読んだ事は無い、という旨を伝えると、彼は、鞄から一冊の本を取り出し、「やる」と言って、それを手渡しました。
理由を訊くと、彼はとても嫌そうな顔をし、タイトルだけを見て買ったが、その内容というか、表現方法に吐き気を覚えた、と伝えた。最後まで読んだものの、以来、思い出すだけで胸が悪くなるのだ、と付け加えました。
そのタイトルは、暗黒童話。
なるほど、くれた彼は、恐い童話が大好きな男でした。
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女子高生の私は、事故で、記憶と左眼を失った。
記憶が戻らないまま、やはり事故で亡くなったらしい人からの提供により、眼球を移植された。
しかしやがて、私の左眼は、目の前にない像を結び始めるようになった。
全く絵空事とは思えない風景に導かれ、私は、眼球が映し出す町を探す旅にでた。
やっと見つけた待ち、しかしそこには、恐怖の事件が待っていた。
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この作品に於いては、噂に違わず、スプラッター的な要因は、ほとんどありませんでした。
しかし、読み始めて確かに、その一種異様な世界感に、吐き気と言いますか、本をくれた知人のいうところの、胸の悪さを覚えました。
ただ、途中でもいいからもう止めたい(他の小説ではよく思うこともあります)、という気持ちはなく、早く先を読み進めたいという気持ちが強く浮き出ました。
そうして、後半に続くにつれ、伏線が効きはじめ、恐怖感も増し、そして最後には切なさが待っています。
最初のトリックに気付かなかった私にはどんでん返し的な結末となりましたが、ただ逆に、最初にあることに気付いてしまうと恐怖は半減してしまうかもしれません。
言い換えると、頭の悪さが、ホラーを楽しめた、といったところでしょうか。
怖いとか、気持ち悪いとか、想像力が豊かな方、には、向かない小説ですが、私のように、何も考えずに読むタイプのホラー好きには、いい案配の本かもしれません。
あ、ちなみに、幽霊や妖怪の系でもありませんので、ご安心(謎)ください。
今日はここまで~。
暗黒童話[乙一]