『月下舞う、薄桃の欠片』。 | My life with 『The OTO』。

『月下舞う、薄桃の欠片』。

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 『月下舞う、薄桃の欠片』



「 春、己にとっては近からず、

  然し、木洩れ陽と 戦ぐ凪はこの頬を撫で、

  この胸にひとつ、温かき熱を宿す。

 
  桃色の欠片 空にたゆたうこの季節

  此処にまだ 己が在る事 その己が命

  鼓動と想いは いまだこの胸中に在るを識る。

 

  そよそよと 前髪たなびく 月下の夜桜

  武士【もののふ】の血を継ぐ獣

  ひとり静か 在野へと放たれる。」




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季節はもう気づかないうちに春となっていて、

そよぐ風に乗ってあちこちでまた

新しいオトが芽吹いている音が遠巻きに聴こえてきている。


再び独り在野にて、

己が打ち鳴らさんと願うオトを磨ぎに往こうと想ふ。

熱と旋律はいまだこの胸の奥にて響き止まず、

そしてまだ俺には確固たる存続すべき理由が在る。




 打ち鳴らすために 生きるのだ。








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