〇ブルガリアン・ポリフォニー/フィリップ・クーテフ ブルガリア国立合唱団<現時点(1989年現在)での断面図を見せる50枚、の14>
とうよう師がレビューで曰く、’民族音楽が時としてポピュラー音楽に対しポストモダンの存在としての衝撃を与ええることを実証した’。おそらくこの100選の中で唯一の民族音楽(非ポピュラー音楽・・・ヌスラットも入っているが、あれは市場性があるから・・)。私も所有する数少ない民族音楽のCDの1つだ。TVでもたびたびBGMとして使用され続けているので、聴けば思い当たる方がほとんどと思う。じゃ、1曲、
The National Folk Ensemble "Philip Koutev" (youtube.com)
良い。西ヨーロッパの合唱がステンレスなら、ブルガリアンヴォイスは錆びた鋼鉄だ。美しい。錆びの美しさが判らない奴は語るに落ちない青二才じゃ。そしてこの独特すぎるハーモニー。楽譜は存在するのだろうか?口伝えかな?メロディ終わりに一切の解決感がなく延々続くのが心地良いループ感。もう1曲。
こちらは割とガサツな西の人でも分かり易いハーモニーかな?コード(存在するかどうか知らんが)の展開も、割と西側っぽい美しさ。とうよう師がレビューで曰く’ブルガリアンヴォイスがクラッシク界にポストモダン効果を及ぼさなかったとしたら、それは単にクラッシック人間達が限りなく鈍感だからだ’。
〇Walang Kekek/Waljinah
ワルジーナはインドネシアのシンガー。元々は中部ジャワの伝統的なクロンチョンの歌手だったが、’80年代あたりからダンドゥッドやレゲエまでこなし始めた(とうよう師のレビューより)。私はとうよう師が強く推していたのは知っていたが、これまで縁がなく、まともに聴いたことがない。では、表題曲を。
Walang Kekek - Waldjinah (youtube.com)
良い。とうよう師によると、この曲のオリジナルはクロンチョン・ダンドゥッドのスタンダードとのこと。クロンチョンだの、ダンドゥッドだの、クロンチョン・ダンドゥッドだの、何のこっちゃ?抹茶に紅茶!とお思いでしょう。簡単に素人説明します。
クロンチョンはインドネシアの、いや、世界で最も古い大衆音楽の1つと言われている。打楽器がなく、各種弦楽器にフルートを交えた伴奏の、型や小節まできっちり決まったアンサンブルにヴォーカルを乗せる、実に優雅な歌モノ。私も何枚かコンピレーションを持っている。
ダンドゥッドは割と歴史が新しく、インドネシアの伝統音楽に、インドやアラブや西欧の要素を加えた大衆ダンス音楽として、’70頃に型が整い、’80後半のワールドミュージックブームに乗って、ちょっとだけグローバルに(?日本だけかな?)に広まった。
クロンチョン・ダンドゥッドは、ダンドゥッド化されたクロンチョンとでも思っていただければいい。
ワルジーナのテイクは、クロンチョンでもダンドゥッドでもない、伝統楽器とシンセを交えた独特のすっ飛んだインドネシアポップスに仕立てられている。いかにもとうよう好み。なので、私好みでもある。
今日はこれくらいで。明日は孫に会い行くぞ、おう!