文学どうでしょう

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ねじの回転 (新潮文庫)/ヘンリー・ジェイムズ

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ヘンリー・ジェイムズ(蕗沢忠枝訳)『ねじの回転』(新潮文庫)を読みました。

デイジー・ミラー』に引き続きヘンリー・ジェイムズです。『ねじの回転』は一度読んだらなかなか忘れられない面白い小説で、とか言いつつなぜか、ジャン・コクトーの『恐るべき子供たち』とごっちゃになったりしていることはナイショです。

幽霊話です。ホラーが好きな人におすすめですよ。似ているようで似てない映画に、『アザーズ』というのがあります。両方とも屋敷で起こる不思議な出来事が描かれているので、イメージ的には近いんですが、全然違う話なので、興味を持った方は観てみるとよいかもしれません。

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『ねじの回転』の面白さは、解釈の自由さにあるのではと思います。女性の家庭教師と幽霊と子供たちの話なんですが、それがすべて家庭教師の視点から描かれているので、常に真実は曖昧なんです。

子供たちは純粋無垢なのか、それともなにか企む悪いやつらなのか、幽霊はいるのかいないのか、ラストは事実としてはどうだったのか。そういったところがよく分からないようになっています。

それでも少しずつ明らかになっていく事実に引き込まれますし、起こっている不思議な出来事に気持ちがざわざわします。家庭教師と幽霊の対立ではなく、やがては家庭教師と子供たちの対立になっていく構造も面白いです。真実は果たしてどうだったのか?

作品のあらすじ


物語は額縁小説の形式になっています。

暖炉の周りに集まって、みんなで怪談話をしているんです。ひとりの子供と幽霊の話を受けて、ダグラスという人物が、子供がふたり出てくる恐ろしい話があると言います。その話はある女性が手記にして自分に送ってくれたものであると。

その手記を書いたのは、大邸宅に家庭教師に行くことになった若い女性。雇い主は弟夫妻が事故で亡くなり、幼い甥と姪の後見人になった人物。ふたりの子供は雇い主とは別に、田舎の大邸宅で暮らしています。

面接の時に、不思議な条件が告げられます。決して雇い主に連絡したりしないこと。家庭教師になる女性は迷いますが、承諾します。どうやらこの雇い主のことが好きになったらしいんですね。この辺りもちょっとよく分かりませんが。

手記に入ると、女性家庭教師の〈わたし〉という1人称で物語は進んでいきます。

馬車で屋敷に向かいます。屋敷に着くと、グロース夫人という、屋敷で働いている人とすぐ打ち解けます。そして教え子になる、フローラという少女に魅了されます。内気ではにかみ屋ですが、天使のようなフローラ。

やがて、前にいた女性家庭教師が亡くなっていることが分かります。

そんな中、もう1人の子供マイルズの学校からマイルズが退学になったという手紙が来ます。そうして屋敷に戻ってくるマイルズ。実際にマイルズを見てみると、とても問題を起こすような子供には見えない。素直で愛らしくてとてもいい子なんです。

ある日の午後のこと、〈わたし〉は高い塔の上に誰かいるのを見ます。雇い主かと思う。ときめくわけですね。しかし、よく見ると見知らぬ男で、辺りは一瞬でもの淋しい場所に一変してしまいます。こんな風に書かれています。

わたしがその男を見つめているうちに、あたりの全景が、死の一色で塗りつぶされてしまったかのようだった。いまこれを書いていても、夕暮れのいろいろのもの音が、急にパッタリ止んで静まりかえったあの時の底知れぬ静けさが、ふたたびジーンと耳にひびいてくる。金色の空で鳴いていたみやまがらすが急に鳴き止み、その瞬間、和やかなたそがれ時のあらゆる物音は消え失せた。(53ページ)


こうした不思議な人物は何回も出てきます。男だけではなく、黒い服を着た女も現れます。怯えながらも、〈わたし〉は幽霊たちから子供たちを守らねばならないと思います。

ところが、子供たちはどうやら幽霊がいるのを知っているらしい。そしてそれを隠している様子に〈わたし〉は気づく。子供たちは天使のような愛らしい存在なのか? それとも・・・。そして幽霊は本当に存在するのか否か? 物語の結末はいかに!?

とまあそんな話です。

全てが明確に解決されるわけではなくて、色々な解釈ができる小説だろうと思います。その曖昧さが面白いところです。単なるゴシック・ホラーとして楽しんでもよいですし、信頼できない語り手のように、叙述のあり方から物語の構造を読み取っても面白いと思います。

深い印象の残る不思議な小説です。単に怖いだけではなく、単に面白いだけでなく。ホラーが好きな人、子供が出てくる話が好きな人などなど、興味を持ったら読んでみてください。なかなかおすすめの1冊ですよ。

そうそう、岩波文庫だと、『デイジー・ミラー』とあわせて1冊になっているらしく、お得かもしれません。
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