雨の中、「N響『夏』2024」に行きました。結論から言うと、選択ミスのコンサートでした。スペイン人指揮者のヒメノは25/26シーズンからマドリード・レアル劇場音楽監督に就任予定でオペラで活躍しているイメージがあり、ソロのバンドリックス・バルグリーはベルリン・フィルのコンマスで、今日のコンマスは郷古さんでした。会場はN響の賛助会員企業の経営者らの招待者や若者が多く、定期演奏会とは違う客層でした。ベルリン・フィルの樫本大進さんやマレーネ伊藤さんらもいました。今日の公演の模様はいつもの8Kカメラではなく、無人カメラで収録されて、後日、N響公演なのにYou Tube配信するそうです。珍しい現象ですね。 


前半のシベリウスでは、長身のバルグリーが冒頭のカデンツァを繊細な音を出そうとしていますが、楽器の調子が悪いのか、音がところどころ外れていました。グリッサンドや重音が弱く、この曲の重厚さや抒情的なところがうまく表現されていません。バルグリーのソロが3000人の観衆の集中させるパワーが感じられませんでした。このシベリウスは、最近ではハーデリヒ、ヤンセン、辻彩奈らの名演を鑑賞しましたが、これらの方が数段上でした。N響は良いメンバーが乗っていたので、オケだけの演奏部分の方が心に響きました。第2楽章もバルグリーのソロがオケに埋もれてしまい、N響の劇的な中間部の方が聴き応えがありました。第3楽章に突入すると、舞曲風の主題からバルグリーの音が外れまくっていて、今日はかなり調子が悪かったようです。湿気が多い影響なのか分かりませんが、これほどソロの音の主張のないシベリウスは初めてです。コーダ手前あたりの盛り上がりはバルグリーは力任せで何とか乗り切った感じでした。アンコールはバッハでしたが、こちらもインパクトが弱いです。


後半の「田園」はアコーギクはほとんど無く、極めて凡庸な演奏で、全パートが淡々と演奏していた感じです。ヒメノは指揮台のスコアを閉じて、指揮をしていましたが、基本に忠実な方なんだと思います。あまりにも普通で、キズのない演奏なので、「名曲アルバム」のように、ぼーっとした状態で全曲を聴いてましたので、いつもは長文の当ブログですが、今日の演奏は面白み・つっこみどころが無いので、今回は300回目の投稿なのですが、これで終わりたいと思います。この「田園」の演奏映像がこちらになります↓。


(評価)★⭐︎(1.5) 完全に選択ミスのコンサートでした

*勝手ながら5段階評価でレビューしております

★★★★★: 一生の記憶に残るレベルの超名演 

★★★★:大満足、年間ベスト10ノミネート対象

★★★: 満足、行って良かった公演

★★: 不満足、行かなければ良かった公演 

★: 話にならない休憩中に帰りたくなる公演 


指揮 : グスターボ・ヒメノ
ヴァイオリン : ノア・ベンディックス・バルグリー

曲目

シベリウス/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
ベートーヴェン/交響曲 第6番 ヘ長調 作品68「田園」

《ソリスト・アンコール》
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ  第3番 ホ長調 BWV 1006 ― 「ガボット」
《オーケストラ・アンコール》
伝ハイドン(ホフシュテッター)/セレナーデ(弦楽合奏版)