雨の中で上野公園の桜を見ながら、東京文化会館の小ホールへ行きました。上野は街としての飲食店のクオリティや雰囲気がイマイチですし、文化会館の座席は昭和の映画館レベルの小型座席で、帰りのタクシーは乗りにくいので、なるべく行きたくないホールです。開演前のホール前を歩いていたら、ネズミが歩いていて、やはり気持ち悪いです(^^)。ですが、日本のホルン界の雄である福川さんが全ての曲をバロック・ホルンで演奏するという世界的にも珍しい試みのコンサートなので行くことにしました。福川さんは、アンコール含めて9曲のうち、8曲をレバーのないバロック・ホルンで演奏するので、かなり難易度高いと思います。しかも、この日の福川さんは、バロック音楽やホルンの歴史、バロック・ホルンなどについての解説付きの二刀流で、曲間の他の演奏者とのトークも勉強になりました。


今日のプログラムではヴィヴァルディとバッハ以外は初めて聴く曲なのですが、バロックらしい聴き馴染みの良い、明るく曲が多いです。福川さんの解説によると、バロック・ホルンは長調の曲(確か16音の組み合わせ)が多いらしいです。短調の和音は出しにくいとか。また、福川さんは以前、バロック・ホルンは唇の振動でコントロールするので、前の日に飲酒するときちんとした音が出ないと言っておられました。ホルンを吹くには、体調と飲食の管理は大変なんだと思いました。福川さんのホルンは、日フィル時代からN響時代まで何度も聴いてますが、ほとんど間違えることのない日本一のホルン奏者だと思いますが、この日は、さすがの福川さんも、オール・バロック・ホルンで大変だったのか、最後のバッハのブランデンブルクでは何度かコケてしまいます。ブランデンブルク第2番のトランペットパートをバロック・ホルンで演奏するのはきついでしょう。2時間あまり、バロック・ホルンのコンサートで完璧に吹き切ると、流石に疲れて、コントロールが難しいのでしょう。ブランデンブルクのミスも、笑顔で演奏しながら、何とか終えてくれました。ホルン以外も、バロック楽器で演奏するこだわりのあるコンサートでした。前人未踏に近い、今回のような難しい挑戦に挑んで下さった福川さんに感謝です!次回も、面白い企画をお願いしたいですし、N響のコンサートにも戻ってきて欲しいところです。


(評価)★★★ 世界的にも珍しい企画だと思います!

*勝手ながら5段階評価でレビューしております

★★★★★: 一生の記憶に残るレベルの超名演 

★★★★:大満足、年間ベスト10ノミネート対象

★★★: 満足、行って良かった公演

★★: 不満足、行かなければ良かった公演 

★: 話にならない休憩中に帰りたくなる公演

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出演