3月5日、啓蟄。
「地中で冬眠した虫類が、陽気で地上に這い出す頃」ですが、冷たい風が強く吹く日でした。
早咲きの梅はだいぶ散り、遅咲きの梅や桃は満開で桜予想が発表されるなど、気候的な気分はすっかり春なんですが、「お花見で宴会はしないで」と要請されるなど、コロナウイルスのせいで、何とも春らしい盛り上がりに欠ける今年です。
H24(2012)年から懇意にしていた呉服屋さんが、昨年末で閉店しました。
娘の成人式に私の振袖を着せられたのも、こちらの呉服屋さんのおかげでした。私は丸7年で、紬を何枚かと帯を何本か頂きました。
最後に買った着物は、薄い綿のゆかた。そして最後に買った帯は、博多帯でした。
何と言う柄なのか…何と呼べばいいのか…。不明。
正価では、いいなあ~好きだな~と眺めるだけの価格。半額以下になったので、何とか手にすることが出来ました。見栄は張れません。
言うまでもないことですが、博多帯も織りの緻密さや糸の質等、様々な要因によって品質も格も、そして値段も異なるもの。いわゆるピンキリってやつですな。
若い頃から好きな博多帯ですが、昔のものは忘れてしまったので抜きとして、再び着始めて以降だと、安いものなら仕立てて3万円でおつり。それで、こざっぱりと着られるんですから、とても有難い帯です。まあ、それはネット価格だからですね。実店舗ではもう少しします。
実店舗でもネットでも、良いものだと当たり前に10万20万するわけですが、私には正価では手が出せないので、セールを待つしかなく。正直な話でございます。
「たれ」のところを、工夫して仕立ててもらいました。
本来はそのまま、お太鼓や前帯の柄なんですが、それだと柄合わせをしないと綺麗に見えないんですよね。それが面倒なので迷ったら、担当さんが、こういう仕立て方が出来ますよと。
何と言う呼び方をするのか分かりません。本来なら折って裏にして縫いとめる、お太鼓のたれの先のところ。ただの無地ではなく市松柄の織り。
折る部分を少し短くしても大丈夫だと分かったので、「たれ」にしました。帯自体が7~8cmくらい長くなった形。
どの帯もそうですが、真ん中の柄が切れるところが同じ。
無地ではなく、市松柄の織り。
こちらの帯、私の好みっぽく見えなかったのか、以前には見せてもらってなかったんですよ。それも不思議な話なので、もしかしたら予算オーバーだったから、出してもらってもスルーしたのかな?とも思ったり。苦笑いです。
閉店総ざらえで色々売れた後だったので、残っている帯を広げられて、手に入れることが出来ました。
半幅帯でお仕舞いと思っていたもので、実は想定外。でも、良かった~。今まで持っていない、明るい紺色です。画像では色が出ていませんが、青い紺と紫の紺。
再びの着物生活を支えてくれた呉服店、博多帯で締めくくりました。同時に最後の博多帯になるかな?幾ら好きでも、もういいでしょ?と自分に言いたい。
大事に締めたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございます。