胸突岩の長い鎖場を登り切ったら、いよいよ。


戸隠山の核心部、


蟻の塔渡り。


蟻の塔渡りは、両側がすとんと300メートルほど切れ落ちた岩稜で、幅約50センチ、長さ約20メートルのナイフリッジ。※巻き道あります。


蟻の塔渡りの先には、もっと狭い剣の刃渡りが。幅約20センチ、距離にして5メートルちょい。ついでに傾斜あり。※巻き道なし。つまり、蟻の塔渡りで巻き道に逃げても、最終的には剣の刃渡り手前で合流。一番細い部分は自分で渡らねばなりません。


えげつない高度感、なのに、つかまる鎖はナッシング。


しかも手前には、「●子さん、安らかに……」というプレートが……。


(お借りした画像①)


(お借りした画像②)



白状しますとね、わたくし、実物を見るまで「まあ、意外と大丈夫なんじゃなーい?」


なんてね、気楽に考えておりました。


バカでした。


実物を目の前にして一瞬で凍りつく、の図(↑)。


以下、40年近く生きてきて、生まれて初めての経験となります。


恐怖で顔がひきつって、


恐怖で体が固まって、


恐怖で膝がガクガク震えて、


心拍数と血圧がパネエ状態。振り切れそうな鼓動ってこういうことか、みたいな。


からの、頭の中  真っ白。


四つん這いでガッチリ岩を掴みながら、ザックの重さに振られないよう、重心がズレないよう、慎重に慎重に。


それでも、途中どうしていいか分からなくなり、


中間地点でナイフリッジにまたがったまま、


茫然自失。。。


……笑えない。


笑えないくらい怖いんですけど。これ、八海山の八ツ峰の比じゃない。


体が震えて前に進まない。かといって戻ることもできない、進めない。戻れない。進めない。戻れない。


どうしよう……、どうしようどうしようどうしよう。動けないよう。怖いよう!


こんなに怖いなんて!こんなに怖いなんて聞いてないwww!!!来るんじゃなかった!


絶望的な気持ちで、何気なく手元に視線を落とした瞬間、目に飛び込んできたもの。それは……。


げっ!!!


蟻🐜!


えっ、蟻🐜🐜🐜!?


しかも、なんかいっぱいいるんですけど🐜🐜🐜🐜🐜!


蟻の塔渡りを、が歩いてやがるwww!!!蟻の塔渡りだけに?


ちょ……、


人が真剣にビビってる時にw!?


※キレながら吹きそうになる。


(いいよなー、こいつら(こいつら呼ばわり)は。人間からみたらクッソ狭いナイフリッジでも、蟻から見たら普通に広い道だもんな……)


様子がおかしいと心配した(らしい)ガイドさんが、ひっきりなしに声をかけてくれる。


「大丈夫、ゆっくり。大丈夫!」


できないとべそをかいたところで、誰かが助けてくれる訳じゃない。


覚悟を決める。


自分でどうにかするしかない。


行く。行ってやろうじゃない。上等だよ。


ここまで来れたんだもの、できる。


私ならできる、


絶対できる、


こんなところで死んでたまるか。


家で麦が待ってる。私が死んだらあの子はひとりぼっちになってしまう。置いてなんかいけない。


まだ戸隠そばも食べてない!


そばソフトも食べて帰るんだからwww!!!


両側の切れ落ちた部分は見ない。


ひたすら前だけを見て「大丈夫、大丈夫」と何度も自分に言い聞かせるように呟きながら(四つん這いで)進む。


ラストの剣の刃渡りは、リッジ左下の足場を利用して……、


フィニッシュ。


終点では、互いの検討を称え合い、知らない人同士でも、歓声・拍手・ハイタッチの嵐が巻き起こります。


うーん。なんか、こういうのイイね。素敵!


ガイドさん「お疲れ!よく頑張った!」


さとう「こ、怖かった!怖かったwww(連呼)!ありがとうございます!(ハアハア)」


さとう「あの……、蟻。蟻がいたんですけど……(ハアハア)」


ガイドさん「えっ?」


さとう「蟻の塔渡りに……、本物の蟻がいました。しかもいっぱい(ハアハア)」


ガイドさん「蟻の塔渡りだけに!?アハハハハ( ´∀`)!」


ガイドさん、爆笑。。。


中には「なんだ、意外と大したことなかったな」と、立って歩いて渡ってくるベテランさんもいます。軽やかにさくさくと。


すごい。


もはや人間じゃない……。


続く


https://youtu.be/lpbk0VsicIk


(YouTubeにアップされてた動画、お借りしました)