こはるちゃんの最近のお気に入りは、
寝室の小窓から外を眺めること。
つづきです。
右足が痛い。
変なふうに足をついてしまった。
でも倒れてはいられない。
二階から下をのぞかれたら、逃げ出したことがバレてしまう。
そしたらどんなことをされるのか想像もつかない。
痛む足を引きずって、家から見えないところまで逃げた。
とりあえずあの家の角を曲がれば。
振り向きたいけど怖くて振り向けない。
義理兄が気付いて、窓からこちらを見たりしていませんように。
祈って、走って。
やっとの思いで角を曲がって、表通りまで出た。
逃げることが出来た安堵感と、思いのほか痛む右足の不安とにやられて、
泣いてしまいそうな気分だった。
知らないオバさんが横を歩いていくのさえ、すがりたくなるほど。
どこに行こう。
計画では、逃げ出したら近くの本屋さんに行き、
ほとぼりが冷めるまで立ち読みでもして過ごすつもりだった。
義理兄は、私がいないとわかれば1時間程度で帰るはずだから。
でもこの右足で立ち続けているのはとても無理と思った。
仕方なしに近くの公園へ行き、ブランコの傍のタイヤの上に座った。
もう夕方近い。
公園にはあまり人がおらず、こんなところに一人でいて変に思われないか、
変なことが気になっていたっけ。
そして、右足のケガのこと。
母親になんて言おう。
友達と遊んでいて転んだとか?
病院に行こうと言われて、医者に診せたら
どこかから飛び降りたことがバレるだろうか。
想像力豊かで気の小さかった私は、色々なことが心配になり過ぎて
心が限界を超えそうになった。
追い打ちをかけるように、夕焼けが始まった。
綺麗なのに、淋しい。
母と一緒のときはあんなに綺麗に見えたのに。
ひとりだと、なぜこんなに淋しいのか。
家に帰りたい。
つづきます。

