【U-NEXT】PERFECT DAYS ☆☆☆

ヴィム・ヴェンダース脚本・監督、役所広司主演のヒューマンドラマ。

 

 東京のトイレの清掃員、独り身の中年男性・平山の平凡な毎日が機微が描かれる。

 

 平山の生活は質素ではあるが、特に無味乾燥なわけでもなく平山なりに趣味や楽しみや人との出会いを通しての気持ちの揺らぎなどがあったりするわけですが、どこか仙人のような浮世離れした”空虚さ”のようなものが漂って不思議な手触り。

 毎朝アパートの前の自販機で飲み物を買うとか、周囲の女性の好意のようなものにどぎまぎしたりとか人間らしいシーンもあるんですが、あの夢?のシーンで毎日リセットされているような不思議な印象を持ちます。なんというか現実世界の平山はアバターのようなもので本体は別の世界にいるかのような。

 

 平山が時々微笑むシーンが出てくるんですが、これもなにに”おかしみ”を感じて微笑んでいるのかピンとこないところもあり、ラストの泣き笑い?のシーンもありやはり現実とはちょっと遊離しているような気持ちにさせます。

 ただこれはタイトルにある通り、ヴィム・ヴェンダースが描く「日本と言う異国にいるかもしれない達観した男」の物語で、現実の孤独な中年男の生活を描いているわけではないので、主人公と被るところの多い私からみて感情移入するところはあんまりないという感じではありました。