2010年。アメリカ/カナダ/イギリス/スウェーデン。"THE KILLER INSIDE ME".
  マイケル・ウィンターボトム監督。ジム・トンプソン原作。ジョン・カラン脚本。
 ケイシー・アフレックは好きな俳優のひとりで、出演作にハズレが少ないことでも信頼している。『ゴーン・ベイビー・ゴーン』、『リターン・トゥ・マイ・ラブ』、問題作の『GERRY ジェリー』など、どれも素晴らしかった。

 一方で、ジェシカ・アルバの出演する作品はほぼ100%の割合でハズレ映画ばかり(『シン・シティ』はとりあえず例外にしても良いが)なのも周知の事実だ。
 ところがヘイデン・クリステンセンと共演した『アウェイク』での悪役が意外と良かったこともあり、少し考えを改める必要があると思い始めたところに、
 この映画での好演があり、映画に本腰を入れてきたのかも知れない、とも思われてきた。
 ベッドに押さえつけられ、尻をむき出しにされて、ベルトで鞭打たれて傷だらけになった尻のままに、ケイシー・アフレックの方に向き直り、「もっと。」と要求して、激しいセックスに突入するシーンは、
 敬虔なクリスチャンとは信じがたい大胆な演技だったが、(とは言っても演出は上品なもので生々しくはない)、ジェシカ・アルバが映画に本気で取り組み始めたことを予感させるに足るものだった。
 その後で、顔面が原型をとどめないほどに殴られた挙句に死にかけるシーンにも役者根性が発揮されてきたことを感じた。

 数年前に、空前の(?)ジム・トンプソン・ブームが日本で起こり、翻訳されていなかった作品が次々に出版される現象があり、ブームに流されて何冊か買ってはみたが、数冊読んだだけで中断している。
 ジム・トンプソンの小説は最高に面白い。これを機会に手に入るものは全部読んでみようと思ったことだった。
 が、肝心のこの映画の原作はまだ読んでいなかった。
 代表作のひとつで、哲学論文や心理学論文に引用されるほどに一筋縄ではいかない小説らしいので、敬して遠ざけていたが、いつの間にか絶版になってしまっていた。

 映画は、出演者のキャスティングが素晴らしく、味わいのあるいい顔の役者が次々に登場して、ケイシー・アフレックのもごもごした話し方も面白かったが、
 意外に薄味な印象で、ジム・トンプソンの映画化にマイケル・ウィンターボトムは適役ではなかったのかも知れない。ただし、ラストシーンの切れ味はなかなか良かった。
 ジム・トンプソンの映画化作品は、最初に映画を見て、その後に原作の小説を読むと、原作の強力さゆえに映画のイメージが書き換えられてしまう、という経験があったので、
 これから原作小説を読むのには、これくらいの薄味映画がちょうど良いような気もする。
     IMDb          公式サイト(日本)
映画の感想文日記-insideme1
 町の人々に好青年だと思われて皆から好かれている保安官助手のルー・フォード(ケイシー・アフレック)。
 ある日、売春をしているという噂のジョイス(ジェシカ・アルバ)を訪ねたときから、彼の殺人への衝動が表に出てくる。彼がなぜ殺人を続けるのか、心理学的に納得のいく説明やエピソードは何もない。
 「殺人者は殺人する」という映画の定義があるだけなのは、わかりやすくならないので素晴らしい部分ではあった。
映画の感想文日記-insideme3
 ジョー・ロスマン建築業評議会議長を演じるイライアス・コティーズという俳優が相当に素晴らしい。
 この俳優のおかげで映画にノワールらしさが付加されていた。
映画の感想文日記-insideme2
 ジェシカ・アルバの今後の活躍に期待が持てるに十分な好演を見せていたのは意外な驚きでもあった。
 今後のスケジュールを見ると、相変わらずつまらなそうな映画への出演が待機しているのだったが。
映画の感想文日記-insideme4
 この映画に期待したのは、ビル・プルマンの名前がクレジットされているからだった。
 出番は少なかったが、相変わらず面白い存在感を発揮している。この題材は自分で監督してみたい、という想いもあったかも知れない。ビル・プルマンが演出していたなら、よりノワールらしい作品になっていたかもしれない。
映画の感想文日記-insideme5
 現在絶好調の女優ケイト・ハドソンだったが、尻を叩かれるシーンでジェシカ・アルバに対抗してはいたが、ちょっと影が薄かった。死に様は見事だったが。
 監督がジェシカ・アルバに肩入れし過ぎていたのかもしれない。原作の評価があまりに高すぎるために映画としては非常に不本意な扱いを受けてしまっているようだが、それほど悪い映画ではない。
 役者陣の顔と表情が素晴らしい点以外には、これといった美点が少ない作品ではあったが。
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