2010年。「SPACE BATTLESHIP ヤマト」製作委員会。
  山崎貴監督。佐藤嗣麻子脚本。西崎義展原作。
 レイトショーで1000円で見たので、話題作だし、人々との会話のネタになるし、1000円分の値打ちはあるだろう。
 元のアニメは劇場版のどれかを1本見たことがあるだけで、原作も知らないので、不思議な世界観を楽しむことができた。

 この映画を見ながら思い出したのは、『ギャラクシー・クエスト』という、20年前に打ち切りになったSFテレビドラマの出演者たちが、本物の宇宙人と出会い、宇宙に出かける『スター・トレック』のパロディ映画で、
 全体にただようB級感がネイサン・フィリオン主演の『セレニティー』という隠れた傑作SF映画も思い出した。
 ついでに最近見た『ファンボーイズ』という『スターウォーズ』の熱狂的なファンが『スター・トレック』ファンと対立しつつ繰り広げるギャグ・ロードムービーも思い出した。

 この映画の最大の見どころは、古代進(木村拓哉)と森雪(黒木メイサ)とのキスシーンで、最初はくちびるを重ね合わせるだけだったが、二度目はディープキスになり、そのまま画面がフェイドアウトしていき、何とそのとき森雪は妊娠したことが、ラストシーンで明らかになる。

 この映画の物語の特性は、登場人物が全員『ブレードランナー』のレプリカントの初期試作段階の未完成モデルみたいに見えることで、感情表現がまだ十分に人間らしくなっておらず、機械的な受け答えや反応の段階にとどまっている点だろう。実際にそういう設定だったのかも知れない。
 例外的に池内博之だけは、型にはまり過ぎたキャラクターのせいなのか、人間らしく見えた。

 見せ場のひとつでもある宇宙での戦闘シーンは、外注に頼らず、日本国内だけで仕上げたことを考えれば、素晴らしい出来だが、外国のSF大作映画と比べたりせずに、DVDストレートで発売されるアメリカ製のB級SF映画を見る感覚で見ると、好ましく見える。

 「外国人に見られたら恥ずかしい。」などと心ないことを言う人もいるが、パッケージを変えれば、海外でも大人気になる可能性だって数限りなくある。
 たとえば、「日本から出現した現代版エド・ウッドのカルト珍SF、ついに登場。」とかの宣伝コピーにすれば、その筋のファンに受けることは間違いない。他にもいろいろなパッケージの工夫次第で大ヒットする要素はあるに違いない。
 ロジャー・コーマン製作のB級SF映画などを愛する人には、この冬の最高の贈り物かもしれない。
       公式サイト(日本)
映画の感想文日記-yamato1
 森雪と古代進はどうして愛し合うようになったのか、愛をはぐくむ過程が全部すっ飛ばされていたので、この映画を見ただけではさっぱりわからなかったが、他のメディアを参照して想像力でおぎないなさい、ということなのかもしれない。
映画の感想文日記-yamato2
 山崎努のメイクには、やや違和感があったが、地球防衛軍司令長官を演じる橋爪功の軍服姿がみょうに似合っていて、カッコよかったのは意外だった。
映画の感想文日記-yamato3
 久しぶりに映画で見たような気がする緒方直人。良い役どころのせいもあり、好演が光る。父親とは別の路線の間抜けさや純朴さを生かした演技で今後の活躍が期待できる。
映画の感想文日記-yamato4
 実写版で見ると、弱点が多すぎて宇宙での戦闘には向いていないことが露骨に見えてしまうヤマトの造形だったが、音響効果や音楽の盛り上げでそれなりにカッコよさげには見える。
 なぜエンディング曲がスティーヴン・タイラーだったのか、謎が残るが、どうせなら日本国内の歌手の歌で締めくくってほしかったような気がしないでもない。
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