2008年。アメリカ。"NIM'S ISLANS".
  マーク・レヴィン&ジェニファー・フラケット監督。
 タイトルや予告編を見ると、ジョディ・フォスター主演で、ちょっとジャック・二コルスン主演の『恋愛小説家』の女性版みたいなものか、というつもりで見てみたら、
 後で気づいたことながら、この映画のオリジナル・タイトルを見るとわかるように、これは、お子さま向けの児童文学の映画化作品で、実質的な主役は物語の語り手でもあるニム(アビゲイル・ブレスリン)になっていた。

 ジョディ・フォスターを主役だと思い込んで見ていたら、明らかに描写が適当でいい加減なものにしかなっておらず、これは変だぞ、と思っているうちに映画は終わってしまった。
 もっともいい加減な描き方をされていて気の毒だったのはジェラルド・バトラーで、一人二役で出番は多いにも関わらず、もっとも目立たない。

 最初からお子さま向けのファンタジーぽい冒険ドラマだとわかって見ていれば、それなりに面白かったのかも知れないが、演出にもお子さま向けというわけではない、と思わせるような中途半端な部分もあって、これはそれぞれのエピソードに時間と労力を費やして2時間30分くらいの長編映画にするべきだったような気がした。
 
 主要登場人物は3名で、それぞれのエピソードがばらばらに描かれてゆき、最後に3名が同じ場面に入るのは最後の最後になってからで、それぞれのエピソードが生きていれば、感銘をもたらすものになったのかも知れないが、
 残念ながら、力点が置かれていたのはアビゲイル・ブレスリンの演じるパートだけで、
 ジョディ・フォスターとジェラルド・バトラーのパートはちょこちょことしたエピソードが分断されて出てくるだけで、観客のみなさんで勝手に想像して補っておいてください、といった程度のものだったので、
 最後に3名が出会ってからのその後についても、観客の想像にゆだねる、という余韻の残る終わり方にしたかったようだが、

 想像できたのは、撮影が終了した出演者が、「お疲れ様でした。またご一緒できる機会があると良いですね。」といった社交辞令を述べ合った後で、さっさとエージェントや取り巻きスタッフとともに、その場を足早に立ち去ってゆく、という姿だけだった。
 カメラというものは残酷なもので、出演者間やスタッフとの間にあった空気まできちんと映し出してしまう。この映画には全員が仕事と割り切って参加していた、という以上の想いは感じられなかった。

 同じようにジェラルド・バトラーが出演していて終わり方に余韻を残す、という点では似ていた『Dear フランキー』 とは大きな差がある。
 『Dear フランキー』を想い出すと、あの3人はその後どうなったのだろう、今頃はどのような生活を過ごしているのだろうか、などと想像力の旅に出かけることができるが、
 それはあの映画に参加していた出演者や製作スタッフも同じだろうと思われて、『Dear フランキー』の撮影期間はそれぞれにとって、人生の中の貴重な財産のような思い出になっているに違いない、という気がして、カメラというものはうそをつかないものだ、と改めて思い知った。
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 映画の実際上の主役であったニム(『リトル・ミス・サンシャイン』や『幸せのレシピ』の頃と比較しても一段とかわいくなったようなアビゲイル・ブレスリンちゃん)。
 物語はニムの視点で描かれているので、海賊として登場する悪者は単なる新規開拓に訪問した旅行代理店の社員だったのだろう。
 孤島なのにインターネット環境だけは最先端をいっているみたいなのは変だったが。
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 世界各国で翻訳されている大ベストセラー作家のアレクサンドラ(ジョディ・フォスター)だったが、書いている冒険小説のイメージに反して、実生活では潔癖症で引きこもりだった。
 アスリートみたいな筋肉質のがっちりした体型のジョディ・フォスターに引きこもりの役は不自然だろうと思ったら、自宅でトレーニング・マシンで体をきたえている、という場面が言い訳みたいにしてあった。
 シリアスなイメージが強いジョディ・フォスターにコメディを演じさせるには、すぐれた演出力が必要だろうと思ったら、やはり何かチグハグな印象が強く、ジョディ・フォスターにとっても気の毒な作品だったかも知れない。
 しかし、今年46歳になるにしては、若々しく、きたえ抜かれた肉体にも衰えは見られなかった。
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 メガネ会社のイメージ・キャラクターになっても良いほどにメガネが似合い、海洋生物学者という知的な役柄も余裕で演じていたジェラルド・バトラーだったが、娘のニムを愛している以外には、これといったキャラクターが作り出されていなかったのがもったいなかった。
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 アレクサンドラの書く冒険小説の主人公であるアレックス・ローバーとして出現するジェラルド・バトラー。服装から判断すると、『インディ・ジョーンズ』シリーズみたいな物語らしい。
 アレクサンドラとアレックスが会話する場面から、アレクサンドラは境界性人格障害の他に、『Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼』 みたいな解離性同一性障害の疾患も持っていたものと思われる。
 ニムの島にたどり着いたときにアレックスの幻覚は去ってゆくことから、アレクサンドラの病気は、行動することによって治療克服されたのだろう。
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 ニムがあしかと一緒に海を魚のように泳ぎまわるシーンなどもあり、何も期待せずに気軽に見るにはちょうど良い作品かも知れない、という気はした。
秘密の島のニム/ウェンディー・オルー
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