1960年。大映。"KARAKKAZE YARO".
   増村保造監督。
 三島由紀夫、若尾文子、その他出演。
 小説家として、注目を浴びていた時期の三島由紀夫が、東京大学法学部の同級生だった増村保造監督と組んで、主演をつとめたヤクザ映画のような青春映画。
 ストーリーは、ありふれたヤクザの破滅してゆくさまを描いた物語だが、主演の三島由紀夫の怪演で、面白い作品になっていた。
 主題歌の「からっ風野郎」も、三島由紀夫作詞、深沢七郎作曲で、三島由紀夫が自ら歌っており、調子よく楽しそうに歌っている。
 
 腕もなければ度胸もない、ひたすら逃げ回るヤクザの役は、三島由紀夫には、ある意味でははまり役で、まじめに演じているものの、何となくミニコントみたいに見えるところもあって、全体におかしい。
 特にラストシーンのエスカレーターの上での壮絶な死にざまは、本人はカッコいいと思って演じていたような気もするが、思わず笑ってしまうような、トンチンカンな印象があって面白かった。
IMDb
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朝比奈一家二代目の武雄(三島由紀夫)は、敵対する相良商事の組長を狙撃して失敗する。2年7ヶ月の刑務所暮らしを終えて、出所するが、
 その間に勢力が拡大している相良商事は、武雄の命を狙っており、武雄は、相良商事に立ち向かう勇気もなく、逃亡生活のため、映画館の2階を隠れ家にする。
 映画館の受付をしていた芳江(若尾文子)と次第に親しくなり、やがて、芳江が妊娠していることが明らかになる。
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 武雄を狙う殺し屋たちから逃げ回るうちに、武雄はヤクザ稼業がいやになってくる。相談役の平山(志村喬)も帰らぬ人となり、朝比奈一家は壊滅状態になる。
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 仲のよい愛川(船越英二)は、ヤクザから足を洗うと言う。学歴のない武雄はヤクザ以外に生きる道がない。
三島由紀夫氏は自分がきたえた肉体をみんなに見せたかったのか、上半身裸か、裸の上に黒い皮ジャンだけを着ている。
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 一度は芳江に対して激しい暴力をふるって、中絶するように迫った武雄も、芳江の愛情にふれて、優しい心に目覚める。身の危険が芳江にも及ぶことを恐れた武雄は、二人で九州へ行くことにする。
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 生まれてくる赤ん坊のために毛糸を買いに行ったとき、殺し屋、ぜん息の政(神山繁)に背中からピストルで撃たれてしまう。
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 三島由紀夫一世一代の名演技(迷演技にも見える)。もがき苦しみながら、なぜか上りのエスカレーターを下ろうとして、足をくねくねさせる。
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 手には赤ん坊のための毛糸の袋を持ったまま、大勢の野次馬が見守る中で、息絶えた武雄の身体は、エスカレーターで運ばれてゆく。
 ほとんど三島由紀夫のワンマンショーのような映画で、相手役の若尾文子も目立たない。
 せりふは棒読みっぽいが、三島由紀夫自身のキャラクターが面白いので、楽しく見ることができた。
角川エンタテインメント
からっ風野郎