孤狼の血 LEVEL2 | Sound@Cinema

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あれから3年後の日岡(松坂桃李)に会いに行きました。

果たして大上(役所広司)の後釜として呉原市を中心に

広島に安定をもたらしているでしょうか?

 

作品上に細かい経緯はありませんでしたが、

日岡は日岡なりに街から物騒な空気を抑えて

はおりました。しかし五十子会の上林(鈴木

亮平)が出所する事により血で血を洗う抗争

が再び勃発してしまいます。

 

そこを抑えようと奮闘する日岡でしたが、警察

上層部の彼に対するやっかみから非協力的な

事案も発生し、日岡は物の見事に貶められて

いくのです、、、

 

お話をザっとこんな所ですが、ファンの注目は

大上(役所広司)の芝居を日岡(松坂桃李)が

超えられるかどうかの一点です。

 

しかし松坂桃李なりに作り込んできた”日岡”は

残念ながら30代と若い設定な事と、元々はエリート

であった事から大上の様に狡猾にはまだ活躍

出来ていませんでした。この辺は設定上の味付け

で、いたしかた無い事かと思います。

 

そこに上林(鈴木亮平)という狂犬をぶつけて

来たんですが、芝居上の狂気さは見えますが

私にはヤクザには見えませんでした。

他の役者も皆同じで、平成、令和とこの時代

を生き抜いた来た役者には、既に粗暴な牙は

備わっておりません。もしかしたら現代の

ヤクザはこんな感じで実はリアルなのかも

しれませんが、物足りない事この上ありません。

少なくとも私の知っている限りのヤクザは

一瞥でヤクザと判る雰囲気を纏っています。

 

いま一つだったのが日岡が雇った内通者チンタの

姉の近田真緒役の在り方です。こういった役柄が

未経験なのか?辛い見せ場でその様に見えません。

一番重いシーンである、通夜の場面で非業の死を
遂げたチンタに涙する日岡に対し、姉の頬には

つたうものが見えず、ドン引きしてしまいました。

暗い過去を持った設定の役柄は、そういった

物を背負った人をキャスティングすべきです。

可愛いだけでは成り立ちません。

 

そして一番言いたくは無い事ですが、ミキシング

に力が無いと言うか、私の好みではありません。

携わっているスタッフは良く知っているベテラン

の技術者ですが、この作品を受け止めるだけの

エネルギーを持ち合わせてない様な気がします。

説明し辛いのですが、そういったパッシブな

要素が大分欠けているんじゃないかな?

 

といったように、邦画を見るとすぐに手の内が

露呈してしまうので、本当は余り観たくは無いんです、、、

まるで仕事に行って打ち合わせをする前に、

スタッフ試写を観る様な感じになってしまいます。

 

やはりほとぼりが冷めた頃に配信などで

流し見した方が、もっと冷静に眺められる

んじゃないかと思います(泣)

 

普通に観れば面白いは面白いんでしょうが、

前作で役所広司が置いたハードルを超える

のは中々の事だったと思われます。