薄氷の殺人 | Sound@Cinema

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薄氷の殺人


原題は”白日焔火”(昼間の花火)、去年のベルリンで
金熊、銀熊とW受賞した中国のクライムサスペンス映画。

ようやく国内でお目見えとなり期待して観に行ったが、
サスペンス映画としての出来は?ストーリーも検閲が
入ったせいなのか?妙な所でブツ切れになっているようで
意味が通らない箇所が散見される。

撮影も上がりも正直言って荒々しく、観辛い事この上ない。
(マジで雑な撮影でバレ物が多く、台詞も割れ箇所多し)

しかし!しかしなんだが、中国のハルピンの真冬の
情景と厳しさ、まったくもって小汚い町並みが非常
にガサツ極まり無いが、近代中国を興味持って観察
出来るので、これだけでも見る価値が有る様に思えて
くるから不思議である。

小ヨーロッパと評されていた町並みはボロボロで
汚らしく、道も凸凹で荒れ果てている。
電車なのか?機関車なのか?その車内の殺風景ぶり。
スケートリンクもただただそこに氷のリンクがあるだけ。

そして尋常じゃ無いぐらい寒そうな厳冬期の町中。

経済成長著しいはずの大国の姿とは到底思えぬ程、
実際の姿は”まだまだ”を呆気無くひけらかしている。

その実際の中国の姿が作品の中身を何十倍にも膨らませ、
雰囲気で圧っし、見たことも無い様な気配を醸し出させ、
その気配の怪しさが興味を引き変な映画になっているのである。

はっきり言ってストーリーに一貫性は無く、筋も通っていない。
宣伝が押す、猟奇的な殺人部分もほんの僅か、
肝心の謎解きもなんでそうなるの?と突っ込みどころ満載。
男女の禁断の恋愛?あれが恋愛なのか?
これも余り言いたくは無いが、煙草ばかり吸って
芝居の間合いで多用され過ぎ、最早必要無いだろ?

それでも何だか判らんが奇異なパワーがこの写真には
存在していて、それがエンドの”白日焔火”に表れる。


判った!これはアートなんだ!

じゃないとなんでこれが銀熊なのか理解出来ない。

これだけ叩いて無責任だが、とっても凄い映画だった気がする(爆)