第65回カンヌ映画祭”ある視点”部門グランプリ、
マイケル・フランコ監督の「父の秘密」が何の宣伝
も無く、ひっそりとユーロスペースで上映されている。
どんな映画かって言うと?制作国メキシコの
ポスターを見ると良く判る。
ご覧通り、凄惨なイジメが劇中に多々出てくる。
中南米なだけに、その手法もあっけらかんとしつつも
結構なストレートでビシバシと弱きを叩くのである。
元はと言うと、事故で妻を失った父娘が新天地に
引っ越し、生活を一新しようとすると所から
始まるのだが、中々上手く溶け込めず苦慮している
最中に娘が学校で激しいイジメにあってしまうという話である。
撮影スタイルが定点映像の様なワンシーンワンカット風
に積み上げられ、かなり冷静に淡々と折り重ねらるに連れ
かなり重々しく、ボディーブローの様に効いてくる。
しかし、娘は非常に我慢強く母親の喪失感からは涙を
流すものの、イジメには頑として健気にも耐え抜くのである。
色々な感情が沸いては消え、沸いては消えするが
受け止める父親も、なんとなく不安定な心情を
察すると堂々巡りの様な感もあって、やたらと
焦燥感に押し殺されそうな感覚に囚われてくると、
どーんっ!!
空いた口が塞がらないエンドがやってくる(笑)
ハネケ程射抜く視線は感じないが、似たように
人間が元々持ち得る、本能的な部分に触ってくる。
マイケル・フランコはこれでも30歳そこそこらしい・・・
怖ろしいわ。