本題は”Beyond the Hills”(丘のむこうで)なんだが、
邦題は、”汚(けが)れなき祈り”と仰々しい。
本作は12年のカンヌ映画祭にて、脚本賞と主演女優賞を
射止めた、大変珍しいルーマニア映画ある。
ルーマニア映画、実話、エクソシズムをキーワードに
興味津々で二日続きで有楽町へ。
敬虔なルーマニア正教の修道院に、精神疾患を
抱えた女の子がやってきたことで、蜂の子を
突っついた様な大騒ぎになり、それが元になって
悪魔祓いにまで発展してしまい、仕舞いには
その子が亡くなり、聖職者が捕まるという実話。
それをワンシーンワンカットでやってのけた上に、
環境音のSEをかなり大き目に乗せてあり、
本当に同じ空間に放り込まれた臨場感に苛まれるという
辛辣な感覚に包まれる写真だった。
まず寒い、凍てつくような寒さが伝わって来る。
そこへルーマニア正教独特に変な感じと、
(あくまで日本人としてね)
同国人の圧政と占領の歴史によって刻み込まれた、
東欧の重みと軋轢も感じる。
2時間35分という長大な尺に加え、音楽も
エンドロール以外存在しないが、決して
観難いという事は無く、程よい緊張に
終始包まれて、容赦無い(笑)感じで終わるのである。
心優しい人なんか、1人も登場してこない、
みんなどこか保身していて空々しい。
こんな国、いや映画もあるのか、、、
歴史ある欧州の映画は本当に面白い。