「トリガール」

毎年、琵琶湖で開催されている鳥人間コンテスト。言わずと知れた自分たちで作った人力飛行機に、パイロットを乗せて飛ばすユニークな競技番組で私もファンの一人。テレビでは、紹介されるそれぞれのチームが、さまざまなフォルムの飛行機が作り手たちの熱い思いを乗せて、高い櫓のスタート台から飛び立っていく。しかし、その場からすぐ墜落してしまうものや、飛行に成功するものの途中で翼が折れてしまうもの…、と悲喜こもごも。映画は、こんな大会に出場チームのパイロット女子を主人公にして書かれた小説を元に、知られざるその感動の舞台裏を描く青春作品だ。

 たまたま理系の大学に入学してしまった女子が、パイロットとして選ばれ、目覚めていく姿を明るくコミカルに描いていく。演じた土屋太鳳は噂に聞く運動神経を発揮して役にピッタリ!ハマっている。パイロットとして体を鍛える自転車でのトレーニングもなんのその。男子顔負けのスタミナで少々ドS気味?で、飛行機のペダルをこぎまくる。他の若手出演者もノリノリの演技で、飛ぶことを夢みる、はたからみたらバカみたいなことかもしれない事に、熱血な姿が壮快だ。それにしても、このコンテストのたった一度のフライトのために、モデルになった大学では100人以上の部員たちが、まさに縁の下の力持ちで飛行機の翼、プロペラ、機体フレーム製作から、パイロット育成などなど、様々な班を分担作業して技術向上を目指し、一年間を費やして地道な努力を重ねていたなんて!!。改めてその情熱に心からエールを送りたい。(スコープ・98分・2017年9月1日公開)