stylishな映像と粋な音楽に注目。
11本のオムニバスshort_film。


シネマな時間に考察を。-cof.jpg
『コーヒー&シガレッツ』

2003年/アメリカ/モノクローム/97min
監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
出演:ケイト・ブランシェット、ビル・マーレイ、イギー・ポップ、
トム・ウェイツ、ロベルト・ベニーニ他


シネマな時間に考察を。-cof1.jpg コーヒーとタバコにまつわるエピソードを、18年にも渡って撮りためた11本のオムニバスショートフィルム。こだわりのセンスを感じさせる音楽と独特のユーモワで淡々と観客をケムに巻いてゆく。そのどこかぎくしゃくとした微妙な空気がたまらない。タバコの煙のように不透明な靄が漂い、その場に行き場なく澱んでいるが、いくらかの時の流れでやがては消えてゆくその刹那。およそ10分足らずで次々と進んでいく物語はそれぞれの続きに思いを馳せる間もなくバトンは渡されていく。頭の中でとりとめもなくごったな思いを巡らすのと似て。


それにしてもケイト・ブランシェットの一人二役は最初全く気付かなかった。『いとこ同士?』もなかなかツボだった。スティーヴ・クーガンの絶妙な心理の移り変わりは見逃せない。個人的にはラストの作品『シャンパン』がマイベスト。カップコーヒーをシャンパンとイメージして人生を味わう10分間の休憩。残り2分の休憩時間に“ひとねむり”するひとときの幸福。そのまま幕を閉じるこの物語に、もしやこれは彼の永遠の眠りなのではなかったのかとさえ思考させる。

シネマな時間に考察を。-cof2.jpg普遍的なものの代表として描かれる<カフェインと紫煙>。コーヒーとタバコ、どちらも嗜好品。小さなテーブルを挟んで誰かと向かい合ってはいても、コーヒー&シガレットタイムはごくごくプライベートな時間。紫煙のくゆりのように、互いの気持ちは相手に届きそうで届かず、離れていくでもなく消えてゆく。

チェック柄のコーヒーテーブルを真上からとらえるショットが多用されている。監督いわく、「チェス盤のよう」。時代が変われど相変わらずカフェインと紫煙を嗜好する人物たちの、それぞれの人生のヒトコマが切り取られる。


そこにあるのはコーヒーとタバコ。
そしていくらかの会話。ただ、それだけ。
人生はそうやって続いてゆく。



『コーヒー&シガレッツ』:2009年12月21日 DVDにて鑑賞