珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
吸血蛾    監督 中川信夫  1956年




ストーリー

 女流服飾デザイナーの第一人者・浅茅文代(久慈あさみ)や7人の美しいファッション・モデルによる華やかなショウの進行中に、文代の助手・村越(有島一郎)は狼男のような不気味な人物から小包を受け取る。

 その中身を見た文代は異常なショックを受け、気を失う。翌日、体調不良の文代に代わってある男からの呼び出しを受けて出かけたモデルの加代子(塩沢とき)が殺される。遺体のふくらんだ胸には鋭い歯の跡があり、乳首には不気味な蛾がついていた。モデルたちに次々と忍び寄る魔の手。

 そしてついに、名探偵・金田一耕助(池部良)が綿密な捜査を開始する・・・。


解説

 横溝正史の同名探偵小説を、怪談映画の巨匠・中川信夫監督が映画化。主人公の金田一耕助には四代目となる池部良が扮する。

 美貌の女流デザイナーのもとに歯型のついたリンゴの入った箱が届けられ、ファッション・モデルたちが次々と惨殺されていく・・・。八頭身美人・伊東絹子が特別出演する、猟奇スリラー。



 『幽霊男』に続いて、東宝が製作した金田一耕助作品。昨日書いたように、音声の問題がやはり大きいです。しかし、その問題はおいときます。

 内容はなかなか良く出来ていて、最後は意外な犯人に驚かされました。また共演者がB級作品にしては豪華で、千秋実、有島一郎、東野英治郎というお馴染みの顔ぶれです。

 池部金田一は、歴代金田一の中で最もハンサムな金田一だと思います。キザでスマートさも歴代ナンバーワンだと思います。しかし、思ったほど主役化されておらず、最後に変装で登場と拳銃での大活劇がありますが、犯人を告げる謎解きの部分はちゃんと描いており、この金田一は思ったほど悪くないなぁと感じました(でも違和感はかなりありますが)。

 『幽霊男』と『吸血蛾』、この20年後に登場する、市川監督・石坂金田一を生んだ東宝作品として、一応外せない作品ということにしておきましょう!



珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・
池部 良と安西郷子


珈琲の香りと紫烟の中で・・・・・

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