お昼に営業全員が社内にいることは非常に珍しいのですが、
先週のある日偶然にも全員が会社におり、思い思い昼食をとっておりました。
安達主任は愛妻弁当をさっさと腹におさめ、大好きな煙を吸って吐き出す為喫煙所へ。
橋口主任は食後にデザートを食べたくなったと、靴を履きコンビニに向かおうとしました。
大のまゆたん子なわたしは、それはもう犬の様にハッハッ言いながら追いかけます。
ともにコンビニに到着し、橋口主任は超絶でけえプリンを購入。
わたしは牛乳の次の次の次くらいに好きなぶどう味のグミを買って会社へ。
戻ると、隣の京極さんはわたしが会社を出るときにほおばっていたおにぎりをまだ食べていらっしゃいました。
女の子なら可愛いけど、顔面マフィアの彼には似つかない行動。
わたしは彼のおにぎりの上にふたつぶのグミを飾ってみました。
グミは、その紫色の輝きを失う事なく、白いご飯の上で光っています。
彼は一度軽く驚いた後、その瞬きに微笑み、そしてわたしにも微笑みかけました。
「ありがとう、後で食べるね。」
その微笑みは、彼がなぜマフィアと呼ばれているのかを忘れさせるような、紫色のグミと同じくらい輝いたものでした。
京極さんはそっと白いご飯の上からグミを取り、ペットボトルのフタの上に置きました。
それはなにかの儀式かと思う程、自然なもので。
なんだか仕合わせな気持ちになったわたしは、
半分くらい無くなった橋口主任のプリンのカップにも同じように宝石を2つ落としました。
柔らかな黄色の上に、それは変わらず輝きます。
柔らかいものと柔らかいものの融合。
色彩のコントラスト。
日常にある2つの贅沢。
綺麗。
…
そう口にする間もなく、彼女の鉄拳がわたしの右肩に刺さりましたとさ。
をしまい。