真夏の早朝ヴィンテージ・デローザライドのレポート、ここからは、参加された皆さんの自転車をご紹介します。
今回は台数が多いので、Part 2では、70〜80年代の自転車、Part 3では、90年代以降の自転車についてご紹介します。
これまでデローザライドのたびに、シートステイキャップや、ステムの刻印、フォーク肩の形状など、ディテール仕様の変遷について見て来ました。今回は、ハンガー部からチェンステー周辺に注目して、年代の古い順に見ていきたいと思います。
まずはTさんのデローザ、1974年製です。コンポはヌーボレコードです。
この時代のヘッドマークは、ハートがやや縦長です。
この時代は左右のチェンステーの間にブリッジが付いています。
フレームチューブにコロンバスのSLが使われていた70年代には補強のためにブリッジが付いており、80年代半ばになって強度が増したSLXの時代になると、ブリッジが無くなったということです。ハンガー部には変速ケーブルのガイドが直付けされていて、ケーブルはハンガーの上を回すようになっています。
MIさんのデローザは81年製です。
コンポは後期型のスーパーレコードが付いています。
これまで、この自転車の色をシルバーとご紹介していましたが、よく見ると薄いシャンパンゴールドで、シルバーとは異なっています。失礼しました。美しい色ですね。
アルマルクの黒い一枚革の編み上げバーテープ。このコーディネートは、この時代のイタリア車の定番で、いかにもイタリアらしいカッコ良さがありますね。デローザロゴ入りのエンドも素敵です。
この時代もまだ、チェーンステーのブリッジが付いており、74年製の車と比べると、ブリッジ溶接部の補強が増しています。
変速ケーブルはハンガーの下部を通すようになったので、ハンガー部がすっきりした印象があります。
HさんのデローザもMIさんとほぼ同じ80年代初頭のモデルです。コンポは後期型のスーパーレコードです。
フレームカラーはメタリックの入ったオリーブ色で、黄色いDE ROSAの文字が映えますね。シフトレバーやフォーククラウン、ブレーキレバーなどに施された黄色のペイントがアクセントとして効いていますが、これは今回のライドにも参加されているFTさんの手によるものだそうです。プロ並みの職人技ですね!
フリーは6段のレジナ・オロですが、これだけきれいな状態のレジナ・オロは珍しいと思います。
この車も上のMIさんの車と同じような特徴を持っていますが、ハンガーの下から回した変速ケーブルを導く細い管状のケーブルガイドが付いています。
今回初参加のGさんのデローザは、1983年〜85年頃の車だと思われます。この時代のデローザは、フレームチューブにウィング柄のデカールが付いているのが特徴です。フレームカラーは上のHさんの車と同じメタリックのオリーブで、ブルックスの革サドルや革のバーテープなど、ブラウンの革の質感をうまく取り入れてコーディネートし、上品な感じの車になっています。
サイズが非常に大きい(580mmぐらい?)ので、欧米人の自転車のような印象を受けますね。
この車に個性的な魅力を加えているのが、ICS製のチェンホイールです。ICSはスイスにあったカンパ・パーツのチューンナップメーカーで、このスーパーレコードのクランクも、オリジナルとは異なり、曲線的で美しいバフ仕上げになっています。
Gさんは、この車に付けているブルックスのサドルバッグの革製ストラップも自作されたそうです。そして革製のタグにはハートマークの刻印が。こういうこだわりのある小技が私は大好きです。
この時代になると、ついにブリッジが無くなります。
代わりに、ハンガーの後部に補強のためのリブが付き、変速ケーブルは、そのリブを貫通して通されるようになります。
ご夫妻で参加されたNさんの奥様のデローザも、同じく83〜85年ごろのモデルで、シルバーのフレームにブルー系のウィングがついているクールなカラーリングです。バーテープとトーストラップもブルーで統一していて、カッコいいですね。
アンブロジオのセルヴィツィオ・コルセのリムには、デローザのオリジナル・ラベルが貼ってあります。
この車もブリッジは無く、ハンガー後ろのリブを変速ケーブルが貫通するタイプですが、こちらは細い管状のケーブルガイドが付いていますね。このケーブルガイドは、人によって付けたり付けなかったりする物なのでしょうか。このパーツについては不勉強でよくわかりません。ご存知の方がいらっしゃったら、ぜひご教示ください。
こちらはFIさんのデローザで、86〜87年頃の車です。
デローザがサモンターナ・チームに供給していた機材のカラーリングなので、通称『サモンターナ・モデル』と呼ばれているモデルです。サモンターナ・モデルには前期型と後期型があり、トップチューブのデカールがウィングだけなのが前期型、ウィングとDE ROSAの文字が入るのが後期型です。これは後期型ですね。
Cレコのコンポにデルタブレーキという、この時代らしいパーツ構成になっています。
この車もブリッジが無く、変速ケーブルがリブを貫通しています。この車も管状のケーブルガイドが付いていますね。
こちらはMYさんのデローザで、88〜89年頃の車です。
この時代はウィングのデカールが無くなり、DE ROSAの文字だけになります。コンポはオーソドックスなスーパーレコード後期型を使っています。
バーエンドとストラップエンドにはデローザのハートマークが入っていますが、これはクラブ・デローザ・クラシケのステッカーを使ったものです。
さて、この時代になると、ハンガー後部の大きなリブは無くなり、代わりに両サイドのチェンステーに伸びるU字型の小さなリブが付くようになります。そして変速ケーブルもリブを貫通する形ではなくなります。この車も管状のケーブルガイドを付けていますね。
Part 3では、90年代以降の自転車をご紹介します。