滋賀県の東近江市、徳昌寺付近。
矢野智徳氏を車の助手席に乗せて、移動中での事。
「もう、造園の仕事が嫌になって、山に登ったんです。
山を駆け上がって、山の奥深くに入っていった。
そして、どんどん登って行くうちに、森林限界のところまで来た。
随分登って来たなぁと・・・,,ふと景色を見ると、
そこに広がっていたのは、
日本庭園や、盆栽の世界だったんです・・・。
2016年4月24日。
矢野さんから、「盆栽」という言葉を聞いたのは、確かこの時が初めてだったと思います。
盆栽×矢野智徳
11月23日(祝) 大地の再生講座in中央園芸 「盆栽から学ぶ 大地の再生」
講師:矢野智徳 サポート:押田大助
この日、大地の再生講座初の、盆栽を使った講座を開催しました。
しかも作業は温室内のみで,いつもの外作業はなし。
午前中の座学の後、近所の盆栽園を見学、
昼食後、矢野氏と弊社の盆栽の圃場を見て回りました。
そして、一番最初に指名した盆栽が、この大きな黒松でした。
「この黒松にしましょうか」
「こ、この木ですか!?」
僕も、矢野さんに植え替えや剪定をしてもらう盆栽を色々と準備してきましたが、
まさか、こんなに荒れている木を選ぶとは・・・予想外の選択でした。
鉢底の穴から根を出して、地面に根付き、枝は伸び放題。
どうにもできないような状態の黒松の盆栽でした。
「まずは、剪定しましょう!」
樹体が大きくなりすぎていた黒松は、平らなところに置くと不安定で、倒れます。
木を大きく振ると、不安定な枝が大きく揺れました。
木を支えながら、そして不自然に揺れている枝を剪定する。
これが、「風の剪定」です。
そのように、枝を揺らしながら、揺れているポイントで切っていくと、次第に倒れずに、
黒松は安定してきました。
剪定が終わると、植え替えです。
鉢から木を取り出そうとしましたが、鉢底の穴から根が絡みつき、鉢が抜けません。
「この鉢、割っていいですか?」
「は、はい・・・、どうぞ」
ということで苦肉の策、鉢を割ることにしました。
「植え替える鉢、ありますか?」
近くにすり鉢状の大きな鉢があったので、矢野氏に差し出しました。
植え替える鉢が決まれば、普通は鉢底の穴にビニール状の鉢底ネットを敷き、
その上に粒の大きい赤玉土や鉢底石(軽石)などを入れますが、
鉢の底に炭を入れ(これは予想できた)、
「これで、OKですね」
!! おもむろに側にあった黒松の剪定枝を鉢の中に投入!
これで、植え替えの準備はOKだと、矢野氏。
「丁度いいですね!」
黒松の本体を、鉢に入れます。特に根はほぐしたり、切ったりしません。
また、黒松を安定させるため、太い枝を根杭の如く、鉢と根の隙間に打ち付けました。
*矢野さんは、足場バンセンでもいいと言っていました。
鉢と、根の隙間に、赤玉土や炭、砂などを隙間を埋める様に入れて・・・
全体のバランスを見て、完成です。
黒松×矢野智徳。
続いて、もう一本!
今度は、株立ちの赤松。
これも圃場でほったらかしにされていた、荒れている盆栽です。
最初に剪定をして、
また、出た!!
鉢底石ならぬ、鉢底枝です。
「はい、こんな感じですね!」
楽しそうに作業をする、矢野氏。
そんな感じで、
盆栽×矢野智徳 の独特の世界観は続きます。
圃場にある盆栽や苗木、植木鉢を自由に選んでいただき、
みんなで、思い思いの盆栽作りを行っていただくことにしました。
参加者の作業風景。
盆栽を扱うのは初めての方もたくさんいらっしゃいましたが、皆さん夢中になっての作業でした。
「これ、すごいです!」
参加者の盆栽作りの途中、
矢野氏が興奮気味に二つの鉢物を持ってきました。
「美男カズラ」の鉢植えです。
この二つの鉢物。
「全然重さが違うんです。」と矢野氏。
葉が茶色くなってしまった鉢と、青々した鉢。
どちらも同じところにあったものだという。
「重さを比べてみて下さい!」
持ってみると、茶色い方がやたらに重い。
土が多い分を考えても、かなり重い。
矢野氏によると、
葉が茶色になっている方は、土が多すぎるとの事。
鉢の土が多いほど、植物にとって成育が良くなるように思いますが、実はそうでもないという。
土が多すぎる分、土の重みがプラスチックの鉢の底にかかり、鉢底が詰まる。
そして根詰まりを起こし、水が抜けきれない。
だから、重くなる。
確かに、
通気の良い赤玉土を入れる植え替えたばかりの盆栽の方が、植え替える前より軽くなります。
この詰まりを解消するには、空気や水の抜ける穴が鉢底穴以外に必要だという。
そういえば、
最近は、黒いポット鉢でもこのように、横に穴が開いているものも出てきています。
しかも、昔の植木鉢は土鉢といって、土から作られていました。
だから、多少の通気は出来ていたのでしょう。
そう考えると、鉢物生産者がプラスチックの鉢をそのまま地面に置いているのは、
空気や水の抜けが悪くなり、成育は不良になるという事なのでしょう。
午前中、座学の後に行った、近所の盆栽園。
「この鉢の下の板が重要なんです!」
矢野氏も、植木鉢を載せるこの板の意味が重要だという事を、この時語っていました。
盆栽園では、しっかりと鉢底から通気のしやすい環境ができていました。
ということで、参加者の盆栽作りは続きます。
参加者の作品が出来あがってくると、自然と矢野氏に盆栽を見てもらうようになりました。
矢野氏の即興、講評タイムです。ここからが矢野智徳氏の真骨頂でした。
鉢や木のチョイス、デザインというよりも、この鉢の中という環境の中で、
いかに植物が元気に成育できるか?
という視点で、参加者の盆栽を手直ししていきます。矢野氏はいつも樹木目線です。
「石の置き方が・・・」
石の重みが土を圧迫すると、矢野氏。
石が土の上に全部乗っているので(当たり前だが・・・)、土に重みがかかりすぎるとの事。
石を、鉢と土に半分づつ重みがかかるように置くことで、石の重みが分散し、目詰まりを防ぐのだといいう。
盆栽の上では、小さな石ですが、
確かに、これが大きな庭の中での、庭石だとすれば付近の樹木の根を圧迫します。
「マクロとミクロは相似形」
石の重みを分散する措置を施しました。
「これは、詰まってますね。」
全体的なバランスはいいのだけど、詰まっているとのこと。
割りばしで、鉢の周囲に穴を開け、通気を良くする措置をしています。
これはいつもフィールドで行っている、点穴を開ける作業です。
普段は重機や両スコップで行う作業も、今日は割りばし1本で行います。
「これも詰まっています・・・」
やっぱり、周囲に穴を開けられます。

杜の学校スタッフのコサック(ニックネーム)の作品。
矢野氏に割りばしで何度も突かれ、地形全体に緩みを持たせると、作品がとても立体的になりました。
「これ、けっこういいですよ!」
高木と中木、下草や石のバランスが良いという評価です。
ということで、ほとんどの参加者の作品が割りばしで点穴を開けられることに・・・
参加者の作品が出来上がると、
即席の撮影コーナーでの撮影会です。

黒松の向きが独特のデザインの寄せ植え。
樹形の良い赤松の株立ちの盆栽。苔と石と砂利で仕上げています。
真柏の石付きと苔のシンプルな盆栽。
大胆にも、ど真ん中に立石の配置の寄せ植え。
みなさんの個性溢れる作品が仕上がりました。
また、僕も、矢野氏もミニ盆栽を制作しました。
上段のモミジは僕の作品。
下段のハゼは矢野氏の作品、盆栽の飾り棚にて。
そして、「インスタ映え」するミニ盆栽の数々・・・・。ミニ盆栽の鉢は参加者の手作り。鉢の大きさはわずか3cmほど。
いつもは、ハードな外作業を行う矢野氏ですが、この日は終始表情が穏やか。
とても楽しそうに見えました。
「山に登ったあの時から、ずっと盆栽の事が頭の中にあったんです。」
ぬかるんだ敷地や枯れていく樹木・・・、土砂崩壊・・・
いろんな現場に行った時に、
なぜこのような事が起こるのか?どうしてなのか?
と思い悩んだ時、
盆栽の中の、地上と地下(木と土)の仕組みを思い出してみると…
「現場で、不思議と答えが出たんです・・・。」
そう考えると、
コンクリートで囲まれたあの住宅地の庭も、
建物前の庭は、まるで四角い植木鉢のようにも見えます。
ここは元々田んぼだったところを埋め立てたようなので、水が抜けにくい。
街中にある、半分枯れている調子の悪い樹木も・・・。
植えられている植栽枡はまさに、盆栽の鉢のよう。
樹木と土と鉢穴という、盆栽の仕組みを考え、それを庭や街中で応用すれば、どんな環境も改善できるかもしれない・・・。
そんな学びと、盆栽の新たな可能性を感じた、一日となりました。
「盆栽はいいですね、本当に!」
矢野氏も大満足の講座となりました!
さて、今回の盆栽講座、大好評につき、
12月23日(祝)、再び盆栽のミニ講座を開催します!
「盆栽から学ぶ、大地の再生in大月」 *写真は大月市ピラミッドセンターからの景色(2017年4月撮影)
講師:押田大助(中央園芸)
山梨県大月市で行われるイベント、「大地の収穫祭」での中で、
盆栽の寄せ植えのデモンストレーションと、盆栽づくりワークショップを行います。
年末の多忙な中、矢野智徳氏も現地に来られ、寄せ植え盆栽の講評をしていただけるという情報も!
2017年、大地の再生講座 結の杜づくり 関東甲信越支部、イベントの締めくくり、大変リーズナブルな料金設定でご案内いたします。
大地の収穫祭のイベントページはこちら↓
https://www.facebook.com/events/147349196024858/?active_tab=about
日時:12月23日(祝) 時間 11:00~13:00
場所:大月ピラミッドセンター (山梨県大月市梁川町網の上福徳1113)
JR中央線 梁川(やながわ)駅 徒歩5分、駐車場もございます。
今回は、初心者向けのミニ盆栽づくりと、参加者自身の感性で鉢の中にひとつの空間をつくり上げる、
本格寄せ植えづくりの2コースを用意。
初めての方でも、大歓迎です。また製作した盆栽はお持ち帰りいただけます。
天候が良ければ、周囲の山々を眺めながら、屋外で行います。
*ミニ盆栽づくり(鉢径10cm以下) 参加費 税込1,500 円(材料代込み)
(大地の再生講座 結の杜づくり 会員は1,000円)
*苗木(1種類)と植木鉢を選んでいただき、ミニ盆栽を作っていただきます。
*別途、大地の収穫祭への入場料(昼の部2,000円)がかかります。
ミニ盆栽の製作例
*本格寄せ植えづくり(鉢径20~30cmほど) 参加費 税込3,000円(材料代込み)
数種類の苗木の中から数本を選び、寄せ植え盆栽を製作していただきます。矢野智徳氏の講評付き!
(大地の再生講座 結の杜づくり 会員は2,000円)
*別途、大地の収穫祭への入場料(昼の部2,000円)がかかります。
定員:各10名程度(予定)
使用苗木:松、竹、紅梅、ナンテン、ヤブコウジ、寒菊・・・などのお正月用の寄せ植え材料
モミジ、コナラ、ブナ、シラカシ・・・などの雑木類
その他の材料:石材、苔、砂利・・・
持ち物:基本的にこちらで用意いたしますが、ハサミ、ピンセットなどあればご持参ください。
*自作の植木鉢を持ち込んでも構いません。
服装:少々汚れても良い服装。エプロン、手袋など。
申し込み:参加者氏名、住所、電話番号(当日連絡の取れる)、交通手段、領収書希望の方は宛名、
どちらのコースをご希望か(ミニ盆栽、寄せ植え)。
また、事前に申し込まれた方は、優先的に苗木や鉢を選んでいただけます。
以下のメールにて受け付けます。
rikyu999@gmail.com 藤本純子 090-1217-6799 まで
講師:中央園芸 押田大助、
ゲスト講師:矢野智徳
年末のお忙しい時期ですが、皆様のご参加、お待ちしております!


























































































































束の間の昼休みも、真夏の猛暑の時は、このような木陰がないととても休める状況ではありません。






























