【妄想Zone】「Mission」#5 | ☆つっこのオモチャ箱☆

☆つっこのオモチャ箱☆

つっこの「元気のモト」:Sexy Zone(佐藤勝利くん多め)、エンタメ、ドラマ…などを詰め込んだブログ♪セクゾ小説も書いてます

 

★今回は、「Mission」という物語の第5話です。

 

 

詳しくは、↓コチラの1話~4話をご覧ください。

(「Mission」 #1)

(「Mission」 #2)

(「Mission」 #3)

(「Mission」#4)

 

 

***********

 

 

【Mission】#5


あっ!…と思った時にはもう、私の視界は何かで遮られていた。

そして次の瞬間、ガツッと鈍い音がして、肩に重みを感じた。

でも、痛みは全く…ない?


いつの間にか、楯のように正面から私を抱きしめてくれたケイが、ゆっくりと私の肩から崩れ落ちていく。

その、こめかみに滲んでいるのは…血!?

「ケイっ!」

 


床に倒れるすんでのところで、ケイは右膝をついて持ちこたえた。
しかし、その顔は苦痛に歪んでいる。
 

 

ゴトン…と音を立てて、ルイの手からバトンが落ちた。

私がそのバトンを拾うと、普通ではあり得ない重さだった。
どうやらバトンの先に、何か重いものを仕込んでいたらしい。


「わ…、わたし…」

ケイの血を見て動揺したルイが、子供のように怯えた表情をしている。


「こんなつもりじゃ…」

「いいから!誰か呼んで来て!」

グズグスと言い訳をするルイに、私は怒鳴りつけた。

するとルイは、目が覚めたように「分かった」と言って、楽屋の方へ走り出した。


「ケイ!大丈夫?」

慌ててケイに駆け寄ると、ケイは左手でこめかみを押さえながら、壁にもたれて座っていた。

私は、ケイの目の前にペタンと座り込んだ。


「なに泣いてんだよ」

ケイは、フッと微笑んだ。


「だって、私のせいで…。ごめんなさい…」

「ばーか。お前、俺が死ぬとでも思ってんの?」
 

 

私は、全力で首を左右に振った。

 

ケイはそんな私を見て、スッと右手を伸ばしてきた。

 

私が目を閉じると、ケイは指で私の涙を優しく拭ってくれた。


(…あれ?それだけ?)

こんな状況で不謹慎だと思いつつも、私は少しガッカリした。

ゆっくりと目を開けると、壁から体を起こしたケイの顔が、すぐ目の前に迫っている。

 



「そんな顔すんな。抑えがきかなくなるだろ…」

 

 


たまらず、もう一度目を閉じようとした時、廊下の向こうからバタバタと走り寄ってくる複数の足音が聞こえてきた。

「ちょっと待って~」という、シマさんの情けない声と共に。
私は、慌ててケイから離れた。

どうやらルイは、シマさんを連れてきたようだ。
それなら、もう心配ない…。


「わたし、行くね!ステージでみんなが待ってるから。」

本当は、ケイが心配だから そばにいたい。
 

でも…

 


私は『REINA』だから!


ケイは 口角を上げて頷くと、私にグータッチを求めてきた。
私は、自分の拳をケイの拳に軽く合わせた。
 

 

ルイとシマさんの到着を待たず、私はステージに向かって走り出した。


~~~~~~~~~~~~~~


コンサートの最終日から3日。


私はまだ、ケイに会えずにいる。

あの日、コンサートが終わってすぐ ケイに会いに行こうとしたけれど、シマさんから止められた。


病院の面会時間は終わってるし、あなたも疲れているだろうから…と。

ただ、ケイの頭部の検査結果に異常がなかったことだけは教えてくれた。


ルイの処遇については事務所が色々と考えているようだけど、私のためにも事を公にはしない方針らしい。

ケイもそれに同意してるようだし、私も異存はない。


そんなことより、私は早くケイに会いたい!

それなのに、コンサートの翌日から、まるでシマさんはそれを阻止するかのように仕事を立て続けに入れてきた。


「シマさん…、ケイに会わせてよ。」

我慢の限界の私は、移動車の中でシマさんに直接訴えた。


「…それは出来ないわ」

シマさんは素っ気なく答えた。


「なんで?」

私が詰め寄ると、シマさんは私に1枚の写真を見せた。
そこには、ケイと私が夜の公園で抱き合っているところが写っていた。

でも、これはラブシーンなんかじゃない。

名古屋公演の最終日の夜、恋人にフラれた私を、ケイが慰めてくれただけだ。


「これは違う…」

私がシマさんに説明しようとすると、シマさんはそれを遮るように言った。


「ケイさんは認めたわよ。あなたのことを一人の女性として愛してるって。」

「え…?」


「でも、分かるでしょ?ダメなのよ。今のあなたは大事な時期だから…」

「ちょっと待って」

私は、頭の整理がつかなくて混乱した。


「ケイさんは、納得してくれたわ。」

シマさんは、私にかまわず話を続けた。


「彼の契約はコンサートの最終日まで。だから、あなたがケイさんと会うことはもうないの。」

「そんな…」
 

 

自分の知らないところで勝手に決められた話に、怒ったらいいのか悲しんだらいいのかすら分からない…。

私がボー然としていると、シマさんは「はい、これ…」と言って、私に1枚のDVDを差し出した。
 

 

「ケイさんからよ」

それは、ケイと一緒に見るはずだった、映画『ボディーガード』のDVDだった。

何気なくケースを開けてみると、中には小さなメモが入っていた。


約束守れなくてゴメン。

今は、それぞれの道で…



メモには、少しクセのある文字でそう書かれていた。


ケイの連絡先を本気で調べれば分からないことはない。

でも、黙って私の前から姿を消したケイは、それを望んではいないだろう…。


(『今は…』ということは、裏を返せば『いつか』は会えるってこと?)

思わせぶりなケイに振り回されるだけなんて、まっぴらごめんだ!


「私、決めた!」

ずっと固まっていた私が大声を出すと、シマさんは驚いた顔でこっちを見た。


「世界で通用するくらいの実力をつける!」

「そ、そうね…」

シマさんは、私の勢いに押されながら頷いた。


「そしたら、その時はケイをボディーガードに指名してもいいでしょ?」

「レイナ…」

シマさんは、ぎゅっと私を抱きしめた。


ケイの本当の名前も、私への気持ちも…


大切なことは、いつかあなたの口から直接聞く。


それが、私の『新しいMisson』


胸を張ってあなたに会えるその日まで、決して弱音を吐いたりしないから。

だから…

今日だけは、泣いてもいい?


涙を流す私に、心の中のケイが優しく微笑んで頷いた。
 

 

(fin.)

 


*************

 

 

以上です。

 

はあ~、終わった爆  笑

 

振り返れば、去年の12月。

 

健人くんのソロ曲「Mission」をモチーフに、なんとなく書き始めたこの物語。

 

のんびりとマイペースに執筆していたら、完結するまでに10カ月もかかってしまった…(^^ゞ

 

途中でモチベーションが下がった時もあったけど、約1名の「ケイのファン」が、物語の続きを熱烈に、でも急かせることなく待っていてくれたので最後まで書くことができました♪

 

ありがとね~(*´ε`*)チュッチュ

 

 

それにしても、「ケント」という本名すら出すことなく終わってしまった…。

 

もはや、私の中で彼は「ケイ」です( ̄▽ ̄)

 

 

体を張って守ってくれた、頼もしいケイ。

 

仕事に対してストイックだから、契約期間の間はレイナに気持ちを打ち明けなかった。

 

だから告白は、まさかの「シマさん経由」だったという…笑

 

 

いつか、レイナが「熱愛報道」くらいでは揺らがないくらいビッグになった時、2人に明るい未来が待ってるといいな♪