詳しくは、『前編』をご覧ください。
*【妄想Zone】は、毎回読み切りの超短編小説です。
「こんなドラマを、もしセクゾのメンバーが演じたら…」なんて思いながら書いています。(佐藤勝利くん多め♪)
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【GAME】(後編)
「…え?なになに!?」
「なになに?じゃねーよ」
突然 目の前に現れた『勝利』は、私を見下ろしたまま呆れたように言った。
でも、この勝利は…、なんか変!
『勝利』だということに間違いはないけど、いつもと雰囲気が違う。
茶色く染められた髪と派手な服装のせいか、いつもの『優等生』とはまるで別人だ。
それに そもそも、何でゲームのキャラが目の前で喋ってるの?
私の頭の中は、クエスチョンマークの大渋滞になった。
そんな私の混乱をよそに、勝利は繰り返した。
「テメーのせいなんだよ」
「私のせいって、どういうこと?…あと、『テメー』って言うの やめてくれる?」
訳が分からないけど、そこだけは しっかりと言っておいた。
「ゲームがバグったんだよ。オ・マ・エのせいで」
勝利は、『オマエ』という言葉を強調しながら 私を指差した。
どうやら、ゲームの最中に私がスマホを落としたせいで、何かしらのトラブルが発生した…らしい。
だけど、急にそんなことを言われても、私だって困る。
「けど…、こうやって外に出れたのは悪くないかもな」
勝利は、意味ありげな視線を私に向けてきた。
「立てよ。キスしてやるから」
勝利は 私の腕を掴むと、そのままグイッと自分の方へ引き寄せた。
「ちょっ…!」
私は必死に勝利の手を振りほどこうとしたけれど、掴まれた腕はビクともしない。
「やめてよっ!私には木下くんがいるんだから!」
「……?」
そこでようやく、勝利は力を弛めて私の腕を放した。
「オマエ、付き合ってる奴がいんの?」
「うん…」
私は小さく頷いた。
「え~、なにそれ~」
勝利は、不満そうに口を尖らせた。
「オマエ、俺のことが好きなんじゃないの?だってさー、いつも俺ばっかり選んでるじゃん!」
(可愛いっ!)
拗ねてる勝利が可愛くて、私は思わず吹き出してしまった。
すると勝利がジロッと睨んできたので、私は咳払いをしてごまかした。
「まあ、いっか。無理強いは趣味じゃないし。でも…」
勝利は私に「アゴクイ」をすると、顔を近づけてきて言った。
「本気でその気になったら俺を呼べ。そん時はオマエのこと、狂わせてやるよ」
(ち、近い…)
勝利の息がかかるほどの至近距離に堪えられず、私は思わず目を閉じた。
すると次の瞬間、私の意識はスーッと遠のいていった。
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「…った~」
右腕の痺れで目を覚ますと、いつの間にか朝になっていた。
夕べは、机に突っ伏したまま眠ってしまったらしい。
(あれは全部…夢?)
机の上に転がっていたスマホを拾い上げ、ゲームアプリの『PEACH!』を起動してみた。
キャラの選択画面には、昨日は消えていたはずの『勝利』も ちゃんと表示されている。
もしかして…という思いで『勝利』を選択してみた。
「…ん?呼んだ?」
いつもの『勝利』が、いつものように微笑んできた。
それを見て、無意識に出てきた「ため息」の理由を、私は考えないようにした…。
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あれから一週間。
私は、何も手につかない日々が続いている。
授業中も、家でテレビを見てる時も、木下くんと一緒にいる時でさえも…
何をしてても、あの『生意気な勝利』のことが、頭から離れない。
こんなの、自分でもどうかしてるって思うけど…。
今日も、木下くんと寄り道をする気にもなれず、真っ直ぐに帰ってきた。
自分の部屋に籠り、意味もなくスマホをいじっていたら、自然と涙がこぼれてきた。
「勝利、会いたいよ…」
♪ ピンコーン ♪
私が呟くのと同時に、スマホから通知音が鳴った。
「……?」
何かと思って見てみると、画面にはアプリ更新のお知らせが表示されていた。
更新が通知されたアプリは…『PEACH!』
はやる気持ちを抑えながら、一週間ぶりに『PEACH!』を開いてみた。
「…あっ!」
「うそ…」
でも それは、間違いなく「あの時の勝利」だった。
私は、震える指で『勝利』の顔をタップした。
(fin.)
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以上です♪
(コンサートのゲーム企画で勝利くんのキャラだった)『生意気なシャンパンボーイ』を、ちょっと可愛いところもあるキャラにしてみました♡
(私の好みで勝手に…)
「ふり幅」大きめで、いい感じになったかな~♪と、自己満足です。
★【妄想Zone】(物語)の一覧を貼るので、よかったら他の話も読んでみてください♪