_

僅かに。

あれ、今てちの右手が動いた気がした。

「てち、起きたの??」

私はてちの様子を窺う。

ふるふると、長い睫毛が瞬く。

起き、た?

私は震える手でナースコールを押す。

「、、ねる?」

「うん。」

「ありがとう。」

彼女がこのタイミングで感謝を伝えた理由が私には分からなかったが、頷かなければいけないような気がして私は零れる涙をそのままに頷いた。