「日比野くん、ちょっと食べ過ぎじゃないの」
ひとみは目の前にいる彼氏の前に並べられた大量の皿をあきれたように見つめる。
ここ最近、ひとみは日比野朗と何度かデートをしている。デートといっても飲食店で一緒に食事するだけだが、それでもひとみにとっては充実した時間だ。
おいしいものを食べている間は辛い気持ちをを忘れられるし、朗の食べっぷりを見ているだけで幸せな気分になってくる。でも、彼がたくさん食べるほど心配にもなってくるのも事実だ。
「ダイエットしないの?」
「ダイエット?」
朗はコーラを一気に飲み干す。
「おれっちが太っていることによって周囲の人が細く見られる。おれっちはそういうところに幸せを感じているんだ。」
なぜかその瞬間、ひとみの目には朗がかっこよく見えたのだった。