新宿末広亭 令和の定点観測 全七十三興行通い詰め

厚い本ですが日付がついているものは読み進めるのが早い。ぜひお手元にどうぞ。

 

長井好弘氏の最新刊。2024年10月から2025年9月まで新宿末広亭の全七十三興行を通い詰めた定点観測本。ご存じ2000年に上梓された定点観測から24年を経た現代版である。これは偉業どころか畏業と呼ぶに相応しい。既に誰かが使っている例えだろうが文字通り「寄席通いの決死隊」。実際に体調を崩している記述もある。演者どころか筆者のドキュメントにもなっているのだ。何が彼をしてそうさせたのか?これまた誰かが使っている例えだろうが「そこに新宿末広亭があるから」という回答だろう。しかし色川武大は寄席とは退屈を楽しむところと呼んだことがあるが、現代の寄席が退屈を一切排除した快適な空間になっているとはとても思えない。となると、長井氏は色川同様の達人なのか?マゾヒストなのか?痔の具合が良いのか?ウチにいられない事情があるのか?そのいずれか若しくは全てなのだろう。演者、演目を褒めるばっかりでなく建設的な改善を促す筆致がとても良い。近頃何でもかんでも褒め過ぎ、褒められ過ぎである。そういうのは本心とはとても思えず鼻白む。一気に読んでこうして今この文を書いている。既に出演者の中から鬼籍に入った人が出ているのだから現実とは恐ろしい。本を買ったら直接サインを貰いましょう、寄席やホールで長井氏を探して。