二人会は初という大御所。

琴柳・扇遊二人会が7日に無事公演終了しました。

大雨の中のご来場に改めて御礼申し上げます。

開口一番は談幸師匠門下の前座、立川幸路さん。

当初は喉をやられ、楽屋仕事だけで、一席は出来ないかもということでしたが

マイクテスト中に調子を上げて、見事に「子褒め」をやってくれました。

こうでなくちゃ。

続いて俊英、立川幸朝さんが『真田小僧』を下げまで。

寄席ではお馴染みの演目ですが下げまでとなると滅多に聞けません。

流麗な展開、聞きやすい声、ただずまいも芸人らしい幸朝さん。

今後ともよろしくお願いいたします。

お待ちかねの扇遊師匠。扇遊師匠と琴柳先生がこんなに仲がいいとは存じませんでした。

特に歌舞伎町における若き日のナンパ合戦の話は最高でした。

そして快楽追求型落語の代表作『突き落とし』。

ウキウキするような遊興の徒。イイ男の扇遊師匠がこうやって

遊里に繰り出す連中を演じているという至福の時間。

正に華麗な高座をお楽しみいただけたかと思います。

ここでお仲入りです。雨が激しくなります。

全員集合の楽屋写真。

さあ、琴柳先生の長講、『巷説長門鍔』と修羅場。

講釈師のトリは二席やるのが本来の形であったというお話。

まずはとにかく入り組んだ話であること。

そして『巷説長門鍔』全編の粗筋をざっと解説。

本日は『巷説長門鍔』より「堀田村、渡辺清左衛門殺し」です。

蔵王山麓の堀田村は今もそのまま地名が残っております。

蔵王の権現様の祭りにおける博打場の盆割りを巡って土地の博打打の顔役四人衆(山形繁蔵、甲州三次、

上総の次郎蔵、黒鬼の鉄五郎)と新興の香具師の親分渡辺清左衛門との間で諍いが起きます。

最初はものの見事に四人衆を蹴散らす清左衛門。ここのカッコよさ!

無事に祭りは済みますが、意趣遺恨をもった四人衆は卑怯にも雷雨の中に

渡辺清左衛門を闇討ちし殺します。ここで琴柳先生が舞台を廻す!

ここの鮮やかさもお見事でした。

清左衛門の一の子分である進藤房吉は親分の敵討ちを誓って、

二人の子分を連れて流浪の旅に出立するところで読み終わり。

 

修羅場は長篠の合戦「鳶の巣山」(大久保彦左衛門の初陣)。

有本で懇切丁寧に読む琴柳先生。擬音の見事さと臨場感に感動しました。

琴柳先生が持っている良さが全て出た一日となりました。

琴柳先生は万全とは言えない声の調子ながら鬼気迫る高座です。

こちらもマイクを工夫しておりますが、何か良いアイディアが

ございましたら是非ご教示ください。