演芸大忠臣蔵2021無事公演終了 ご来場有難うございました | 有限会社宮岡博英事務所のブログ

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さあ、いよいよ『演芸大忠臣蔵2021』の開幕です。今年で三回目。

去年は入場者数制限をくらいましたが、今年は制限解除。

換気励行で寒めの客席。意味不明のスリッパ貸し出し禁止、さらに女子便所が

詰まるという大変な環境の中のご来場に感謝と御礼でいっぱいです。

リハーサルも大変!出演者、スタッフともども8時台から集合してまいります。

さっそくの集合写真その1。

前座さんもなしで、いきなり一龍齋貞橘先生の義士本伝『刃傷松の廊下』。

本伝はなかなか聞くことができません。本伝は面白くない話が多いのでなかなか

やる演者がいないのことも確かです。漫談たくさんで引っ張ってくれました。

中でも貞水先生の声色は絶品というかそのまま!お客席からジワがでるほどでそっくり。

普段から似ているのに、もっと似せるとこうなるのか!

つづいて立花家橘之助師匠による「忠臣蔵尽くし」。寄席と違うのを聞けることが嬉しい。

有難いことに『奴さん』の替え歌義士ヴァージョンはオリジナル!

浅草演芸ホールの夏の住吉踊りの周年と赤穂義士討ち入りの周年が重なったときにこしらえたそうです。

ずいぶんお痩せになったので心配しましたら「やった!スープダイエットで10キロ減らしました」

もともと痩せているんだから減量の必要はないでしょうに。

第一部のトリは坂本頼光先生。出演料をお渡しする袋に”雷光”と書いて失礼しました。

もはや威容も感じさせる堂々たる高座。今年亡くなった正司敏江師の」エピソードから。

映画説明は、講談、浪曲でお馴染みの「中山安兵衛の駆付」を2本。

一本が阪東妻三郎主演の『喧嘩安兵衛』、もう一本は大河内傳次郎の『血煙高田馬場』。

これらが同じ年(昭和3年)に撮られた映画というのだから驚きです。それだけ人気のストーリーだったのです。

大雑把に言って阪妻さんのは粗野な魅力があり、大河内のは顔がとにかく立派で大様な豪傑の雰囲気があります。

大河内版は町内の男に若き伴淳三郎が出ており、これを頼光先生はもちろん伴淳の声色でやりますから

最高!大河内も大河内でやりますからマニアは狂喜乱舞でしょう。

今年は落語芸術協会の寄席にも出演するようになり、こういう巧い人のご活躍はうれしい限りです。

ここでお仲入り。外も風が冷たく、場内も外に負けないほどの寒さでご迷惑をおかけしました。

第二部は神崎与五郎三部作と題しまして、神崎与五郎を扱った話を三席。

この神崎与五郎は、歌舞伎だと”千崎弥五郎”で、勘平に火を借りたり、道を聞いたり、叱責したりする

血気盛んな人物。この生い立ちを描いた話は浪曲だとたまにやります。”出世の刃傷”等の

題がつけられているようです。勿論原点は講談です。しかし講談ではあんまりやらない。

百姓の倅が奉行の倅を殺害しながらも、その災いが福となり、奉行の子として育てられるという話。

その百姓の倅が神崎与五郎なのです。

 

これを神戸の喜楽館で聴いたのはつい最近。もちろん今日の團六師匠でした。

びっくりしましたが落語にもなっているんだ!同時にこりゃあいつの日か「神崎与五郎三部作」が

上演できるなとセコイ計算も働きました。今回も團六師匠に出演交渉の際に、何でも多くの癌を抱えているそうで、

これまたビックリ。病室で師匠露の五郎の録音を立て続けに聞いていたらこの話があってやってみようということになったそうです。

そういや”落語仮名手本忠臣蔵”の中で露の五郎師匠のが日本クラウンのCDであったな!

このシリーズは無許諾音源が多数含まれていて回収騒ぎになって、入手困難となっているものです。

團六師匠の端正な高座。これを東京で聞けるのは初の機会でありましょう。

そして「与五郎三部作」の第二席目は、東家一太郎先生と、曲師:東家美師匠による十八番『弥作の鎌腹』

これは歌舞伎で知っていましたが、観たことはありませんでした。小芝居に向いた演目ということで内容も暗く

陰惨な感じもあるので、廃れたのでしょう。しかし2013年年末に中村吉右衛門が蘇演したのです。

初代吉右衛門がやってからでしょうが、これを私は見逃した!

二度と機会はないでしょう。さぼっちゃイカン。その播磨屋さんも今年亡くなりました。

浪曲では浦太郎先生の十八番で一太郎先生に見事に伝わっています。

百姓だけに鎌で切腹するという凄惨さですが、一太郎先生の描く与五郎の兄百姓弥作はひたすら誠実でそれゆえの

苦悩が出ていていつも感動します。

ラストで音響の不手際があり、大きなハウリングでお客様にご迷惑をおかけし一太郎先生の高座を滅茶苦茶にしまして

改めてお詫び申し上げます。

三部作締めくくりは八代目一龍齋貞山追善演目として『神崎仮名の詫び証文』

貞山もこれを度々やっていました。七代目の録音もありますが、七代目のはどうもあざといところがあり、

これは八代目の方が品よく、良かったかもしれません。

この日の出演を頼んだ時、「ん、28日は張扇供養だな。でも大丈夫ですよ」と言ってくれました。

演目はその時決めなかった。貞山先生にはこういう催しの時に他の演者の出し物が決まってから

演目を決められます。それはネタが多いからです。失礼なことを毎回しておりました。

今年は『楠屋勢揃い』で取りに出ていただくか?等考えを巡らせてはいました。

南湖先生もストーリーに貞山のエピソードを絶妙に織り交ぜて話を展開。やはりグッと迫るものがありました。

南湖先生の『詫び証文』には、馬方丑五郎に無知の悲哀があって、この丑五郎にも同情が沸き起こります。

これは見事な高座でした。

ここで第二部終了。換気励行でございます。

第三部は、《令和二年度文化庁芸術祭賞三人会》と題しまして”表彰式なし、賞状は佐川で配送”という

前代未聞の仕打ちを受けた受賞者の鬱憤晴らしでございます。

トップは、澤幸絵さんの『岡野金右衛門の恋』。曲師:佐藤貴美江師匠。

これは廣澤菊春先生は『恋慕月夜』の名でやっています。それを土台に新たな台本になっているのが

こちら。時々菊春が顔を出すところがまことに典雅で聞いていて気持ちが良い。

続いて桂竹丸師匠による『吉良の逆襲』。地噺的に数々のエピソードをつないでいく竹丸師匠。

さて、主任はお待ちかねの京山幸枝若です。曲師:一風亭初月。

今日の新幹線は米原辺りで雪のために一時間以上遅れるというヒヤヒヤの楽屋入り。

もちろん”遅かりし幸枝若”ということにはなりませんでした。

先代以来の十八番『大石と垣見』。幸枝若のレパートリーの中でも品格と風格で圧倒される名作。

この『大石と垣見』は、講談で義士本伝と呼称している方もおりますが、本伝とは違うんじゃないかと思います。

講談では服部伸の名演が有名です。服部先生ご存命の時は他の演者は遠慮してやらなかったほどの十八番。

服部先生が浪曲師の時代からの持ちネタ。

この演題は珍しくも浪曲から講談に入った演目ではないかと思います(何かご存じの方がいらっしゃいましたら教えてください)。

それ故に一心亭辰雄(服部伸の浪曲時代の名前)以外にもこの『大石と垣見』の演者はおり、幸枝若もそうですが、

初代相模太郎もやっています。

幸枝若版と服部版とは話の筋が若干違い、そこも面白い。幸枝若版は垣見との対決に絞って切々とした、大石の人間味(大石の持つ弱さ)を

紡いでいくものです。服部版だと龍虎相打つという感じ。

お見事の一席。圧巻の締めくくりとなりました。

 

大映映画では長谷川一夫(大石)と二代目中村鴈治郎(垣見)でこの場面があり、歌舞伎出身だけに

丁々発止、活殺自在がDVDでも楽しめます。

集合写真その2、やっぱりこりゃあカタギじゃない!

この日が高座納めという芸人も多く、年末感たっぷりの会となりました。

来年の『演芸大忠臣蔵』は2022年12月18日日曜日。びっくりするような番組を考えております。

 

今年一年お世話になりました。お蔭様で公演は無事全て行えました。

貞山の訃報にはいまだに悔恨が遺りますが、新たな年も新たな企画で乗り越えます。