鶴光の会その十 公演終了 | 有限会社宮岡博英事務所のブログ

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2019年8月25日日本橋亭は鶴光の会、記念すべき10回目。

大入り満員で無事公演終了しました。ご来場のお客様に改めて御礼申し上げます。

開口一番は9月1日より二つ目昇進が決まっている笑福亭茶光さんが『平の陰』。

この噺は東京では『手紙無筆』で誰でもやるネタ。大阪版は、何故『平の陰』かというと

盃のことは”大平”という字の陰に隠れて見えなかったというのが下げになっているからです。

この大平は大平椀のことで、今も料理屋さんで餡かけや蒸し物で出て参りますね。

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この大平が分からないからというので東京でも元来は大平まであるそうですが聞いたことありません。

ほとんど途中で切ってしまいます。

「おくれよ言葉なんぞを使うところを見るとお前のオジサンは元は花魁だな」

なんて故夢楽師匠はきってましたね。

昨日の茶光さんでは楽屋で鶴光師匠から原点通りでやれと指示が出まして「大平の陰」

まで行きました。この大平の発音が「アーウー」の元首相ではなく、「おひら」と転じ、その「お」の字がさらに

丁寧語と解釈されて「ひら」と発音されるのが大阪流。

大阪弁は母音の扱いが面白く、お日様がおひい様、タクシーがタクウシー、絵がえー、だったり

母音が付く場合もあれば、連続母音が省略されるケースもありますね。それ故に余計に東京ではわかりにくいのでしょう。

しかし、大平椀も絶滅したわけではないし、元気に活躍中なので、ぜひ残してほしいものです。

ついで、二つ目の笑福亭羽光さんが大熱演の『土橋萬歳』。これは真打のネタです。

最近羽光さんがネタ卸に及んだ作品。これはどう考えても東京に移せない作品。

大阪の商店では、大和出身の奉公人が多かったというのは歌舞伎なんかでも残っている設定。

前半は道楽者の若旦那が茶屋遊びするお茶屋噺の趣。今回は落語協会からお囃子のきょうさん(超美人)を

お借りして雰囲気を盛上げました。「福寿草」の歌もたっぷりお楽しみ頂けたと思います。

若旦那の道楽を諫めるためにあれこれ番頭が手を尽くします。

「親の言うことを聞かぬわしが番頭の言うことを聞いてたまるか」

最後は追剥に化けてまで意見をしますが、逆効果。

「芸者や芸人は遊び相手、そんな連中に実意を求める方がおかしい」

「私が南地五花街を踏み荒らした雪駄、これで土性根に入るようにしたる」

これらの若旦那の理屈はもっともだと思います。

歌舞伎の『夏祭浪花鑑』の長町裏殺し場(泥の中での殺戮、いわゆる泥場)のパロディ。

パロディと言っても、ここはマジでやらないと白けます。

端唄『露は尾花』がバッキング。

今回は附木、附板、鐘を使いました。茶光さんが大活躍。

下げはビックリの(反則の)夢オチ。

次は真打の里光師匠がご陽気に『ちしゃ医者』。里光師匠の十八番。

これは混同されることがありますが『夏の医者』(ウワバミの腹の中から医者が脱出する作品)とは全く違う作品です。

ちしゃは、レタスの和名だそうで、かなり古くから日本でも栽培されていたようです。

巻かないタイプだったんじゃないでしょうか。

『夏の医者』では、”ちしゃの胡麻汚し”を食べ過ぎておなかを壊す患者が出てきます。

この『ちしゃ医者』でも最後に出てくる婆さんが「おつゆの浮かしにする」という台詞も聞いたことがあり、

色々重宝な夏の野菜だったのでしょう。

お待ちかねの鶴光師匠が、『刻うどん』。お弟子さんがやっているのは良く聞きますが、

御大鶴光師匠のは初めて聞きます。なぜ『時うどん』ではなくて『刻うどん』なのか?

飛田遊郭で遊んだ、じゃなかった冷やかした(遊ばずにウロツイタ)二人連れがうどん代を誤魔化すトリックが「今、何時だい」と時を聞く。

この時が十二時辰(十二干支を使った時刻表示)当時の噺で、現在の二時間を一刻と勘定。

その”刻”を使ったトリック故に”時”では今の一時間と混同するという理由からです。

しかし飛田遊郭は大正以降の遊郭なので、既に24時間で一日を勘定している筈なので

これは矛盾しますが、ご勘弁下さい。

悪所通いの後に小腹が空いて、しかし懐は寂しい限り。うどんでも一杯。

客席が波打つ程の爆笑。『時うどん』は大阪の前座さんがやるもんだと思っちゃいけません。

大家がやるとここまで面白い。

下げは新バージョン。現柳家蝠丸師の作。オオッツとジワが起きました。

ここでお仲入り。楽屋で全員集合。

仲入り後は、大阪からお招きしたゲストの喜味家たまごさん。

当日大阪より日本橋亭入り、終演後に京都に戻るという過密な中有難うございます。

出囃子は、”いとこい”譲りの「おいとこ」です。

阿保陀羅経、都都逸、いとこい漫才でも聞けた懐かしい親子丼(柏)、最後に夏らしい踊り”蝙蝠”で

お開き。七代目團十郎が大阪で人気が出たときに作られた作。團十郎が蝙蝠を意匠にしたのも有名です。

”蝙蝠”は一門の芸名にもなっております。

鶴光師匠の二席目は、ネタ卸の『子別れ』。

鶴光師匠の人情噺は珍しく『ラーメン屋』についで二席目です。

母親が鶴光師匠の柔らかさが出て若く中々綺麗な女性に見えます。

子供が可愛らしい。その中に子供ながら(子供故か)中々の苦労人である感じが良く分かります。

妙に子供の声にしたり、可愛ぶったりしない。さらっとして良いですね。

子供が巧い人は名人の実証です。

最後の下げも清々しい。”女の子別れ”

恒例の出演者勢ぞろいの手締めでお開きです。

ご来場に御礼申し上げます。

 

次回鶴光の会は2020年7月23日、木曜日ですが祝日(海の日)です。

オリンピック開会式前日だそうです。

鶴光師匠一席目は『悋気の独楽』を久々に。これは五代目桂文枝師匠からのもの。

11回目ということで、この会は特別編。

鶴光師匠が裏芸を披露。そして門弟衆も普段と違うものを用意することが打上で義務付けられました。

どうぞお楽しみにご来場をお待ちしております。