Unrequited Love(渡邉×原田)

テーマ:

土日明けの憂鬱な月曜日の朝。

毎日の様に待ち合わせをしている人を待っているのだけれど、どうしてか、毎度の様に待たされて、あの子は毎度の様に、同じ時間にならないと現れない。

まぁ、そんな事で文句を垂らす位なら、私ももう少し遅めの時間にここに来れば良いだけの話なんだけれど、もしかしたら、あの子の気分で早く来ているかも知れないと思ってしまうから、ついつい早めのこの時間に来てしまう。


「あ、理佐おはよー!」

「おはよう。小学生は朝から元気だねぇ」

「もうっ!またそうやって小学生扱いするー!」


葵がわざとらしく、且つ、小学生の様に頬を膨らませる。

そんな葵の頬を突いて、空気を抜いてから歩き出す。

葵は、「待ってよ〜」なんて言いながら、トコトコと私の後ろを付いてくる。
そんな葵が可愛くて堪らない。

でも、言葉にしようものなら、この関係が崩れてしまう気がして、中々その一歩を踏み出せずに居る。



「理佐、課題やった?」

「あー、数学でしょ?」

「数学もだけど、古文」

「げっ……」



やば……、古文も出てたの?

昨日の記憶を辿るけれども、思い出せない。

すると、葵はそんの私を見て溜息を一つ。
その後に、私の腕を引いて、少しだけ歩く速度を速める。



「葵?」

「早く学校行ってやろ?最悪、私の写せば良いしさ」

「やっぱり持つべきものは幼馴染だねー」



呑気に答えれば、葵は少しだけ唇を尖らせた。

何か言いた気だったけれど、何も言わずにどんどん歩みを進める。


葵は昔からこうだ。

何か言いたくても、後の事を考えて、言葉を飲み込んでしまう。

それでいて、こうやっていつも私の事を気に掛けてくれては、課題を出し損ねない様に助け舟を出してくれる。

私は、そんな葵に次第に惹かれて、今では好きという事実に変わっていた。

そして、そんな葵だからこそ、ついつい甘えてしまう。
















早歩きの甲斐あってか、随分早く学校に到着した。

私は自席に着いて、急いで古文のノートを開く。
一番新しいページには、確かに、昨日配られたであろうプリントが半分に折り畳まれて挟まれていた。



「やっぱり忘れてたね」

「うん。……うっわ、しかも面倒臭そう…」



結構な量の文章に、既にやる気が失せていた。


「葵ー…」

「少しは自分で考えなきゃ」

「ケチ」

「ケチじゃないもん。それに、忘れてた理佐が悪いんでしょー?」


急所を突かれて、返す言葉がない。

仕方なく問題を読んで、解答していくけれど、朝から勉強なんて怠くて、段々と眠気に襲われる。



「ねぇ、理佐、眠いでしょ?」

「んー…」

「もぉー!ほら、早く写して!」



葵が、私のプリントの横に自分のプリントを並べる。

その行動を期待していた訳ではないけれど、葵の好意を無下には出来ないので、眠い目を擦って、急いで解答を写す。

解答を写すとなれば、ものの10分程で写す終わった。


「葵ー、ありがとー」


眠さもあってか、写し終えた瞬間、葵に抱き着いた。

そうすれば、葵はよしよしと頭を優しく撫でてくれた。


そんな時、タイミング悪く愛佳が教室に入って来た。



「あー!理佐と葵が抱き合ってる!」

「げ……」

「何だよー。2人ってそういう関係だったの?」

「ち、ちが…」

「幼馴染なだけだよ。ね、理佐?」

「え、あ、うん…」



葵が言った事は本当なんだけれど、何だか胸がチクリと痛んだ。

でも、もしかしたら葵は他に好きな人が居るのかも知れないから。

普段迷惑を掛けている分、そういった事は聞かない様にしているし、もし、葵に好きな人が居るなら、隣で応援するつもりだ。



「そんな事より愛佳。ちゃんと課題やったの?」

「え?」

「数学と古文」

「え!?聞いてない!」



いつまでも揶揄ってくる愛佳が鬱陶しかったので、課題という言葉を出せば、一気に焦りの色を見せる愛佳。


「え、理佐やった?」

「うん」

「葵は?」

「やったよー」


私と葵の返答に、愛佳の焦りの色は一段と濃くなる。


「やばっ!葵、見せて!」

「え、やだ」

「えー…理佐ぁ…」

「やって来ないのが悪い」


私がそう言うと、葵は隣でクスクスと笑った。


「理佐だってやってなかったのに」

「あ、ほら!どうせ葵に見せてもらったんでしょ?」

「古文だけだから。数学は自分でやったし」

「てか、葵。理佐に見せるなら、私にも見せてよー…」

「やだー。理佐だけだもん」


愛佳の必死のお願いも、葵には聞き入れてもらえず、愛佳はショボくれていた。

そんな事よりも、私は葵の「理佐だけだもん」という言葉が気になってしまった。


もしかしたら、なんて期待を抱いてしまう。


そんな想いで、葵を見つめていると、私の視線に気付いてか、葵がこちらを見る。

不意に絡まる視線に、言葉を探していると、


「理佐、HR始まるよ」


ニッコリと笑ってそう言った。


コロコロと変わる表情は、本当にそこら辺に居る小学生と変わらないけれど、たまに見せるしっかり者な面とか、料理が出来る面とか、意外に大人な一面を持っている葵に惹かれっぱなしだ。

いつかは、この気持ちを伝えたい。

でも、その勇気が持てるまで、それか、葵に好きな人が出来るまで。


もう少し、幼馴染として、葵の隣に居させてくれる?


-----------------------------------------------------


tuning727さんからのリクエストでした!

幼馴染の片想いって、こんな感じで良かったんですかね?

意外と難しいですね、りさあお。。

リクエストありがとうございました!



AD

コメント(2)