トモと昼飲みハシゴをしよう、ということになった。
そういえば、この前、偶然よさげな店を見つけた……と話したら、トモも、前からその店が気になっていたと言い出し、1件目はその店ということで即決した。
当日、店前で待ち合わせ、そろって店内へ。
カウンターに一組のカップルがいただけで、あとは空いている。
だがしかし、店主は私たちを見て、何となく「歓迎しない」表情をした。予約が入っているのかも、と踏んだトモは、「予約してないんですけどいいですか」と問うた。
店主が、「そちらの席へ」と言うまで、不自然なほど間が開いた。
小さな店。そこに店主が一人。
何となく、雰囲気が悪い。
だが、それ以上に私が嫌だと思ったのは、半袖Tシャツを来た店主の両腕に、結構なイレズミが入っていたことだった。
結局私たちは、その店でランチしつつ昼飲みしたのだが。
その間、常連らしきお客さんがわらわら入ってきた。
私は落ち着かなかったが、皮肉なことにリゾットもパスタもキッシュもめっちゃおいしかった。
そして別の日。
仕事用で郵便局に行った帰り、駐車場でベビーカーに子どもを乗せた夫婦とすれ違った。
Tシャツ・短パン姿の若いパパ。むき出しの両手、両足はあのときの店主以上に密なイレズミが入っていた。
思わず目を背けてしまった。
イレズミは今やファッションで、私もかつてほどの拒否感はないが、だが「それを入れる痛み」がどうしても頭をよぎってしまう。
注射ですらイヤ、ピアス穴をあけるなんてとんでもないと思う私には、そこまでしてイレズミを入れる理由が全く理解できない。
だから、あの店はおいしかったけど、やっぱりもう1回行く気にはなれない。
針を刺す 痛みを思い 腕なぞる
鞠子