左下奥歯のかぶせ物がとれたのが去年の暮れ。

芯となる自分の歯の根がほとんど残っておらず、シロートの私が見たって、これはもうくっつかないと思った。

だが、かかりつけ医は何とかくっつけてくれた。

それも持ったのは3か月。グラグラしだし、歯茎が痛み出したので診てもらい、若干かみ合わせを修正して最後の抵抗をしてもらったが、ここにきてやっぱりダメ感が強くなってきた。

噛むたびにかぶせ物の端が歯茎に当たるようで、左側は基本的に使用不可状態。今日は定期検診の予約だったのだが、その不具合を言わざるを得なかった。

 

かぶせ物を強制的に外したら、残り少ない根っこはますます持っていかれる。だが、痛みがある以上、外す以外、方法はない。

そうして外された結果、必死に頑張ってきたちっちゃな私の歯の根は、もうすでに折れてしまっていた。

打つ手なし。

1本、死亡宣告。

「かぶせ物がなければ痛まないからこのままにしておくという手もあるが、なにせ“死んでいる歯”なので、割れてばい菌が入ったりすると……」

ええ、分かります。そんなことになったら、歯だけの問題では済まなくなる。

よって私の奥歯の根は、頭蓋骨から取り除かれた。

もうぼろぼろだったので、いとも簡単に抜けた。

抜いた歯を見せてもらった。

4つに分けられ取り除かれた血まみれのそれは全く無残で、歯の形は全然とどめていなかった。

 

こうして年々、親が苦労して与えてくれたパーツが一つ一つなくなっていく。

思わず「なんかとっても虚しいです」と言いながらため息をついてしまった。

息子みたいに若い歯科医は「そうですね」と一応相槌を打ってくれた。

 

あっけなく抜けただけではない。

出血も、医師が予告した時間の半分程度で止まった。

痛み止めが出たが、全然飲む必要なし。

抜歯後の最初の食事はおそるおそるだったが、何のことはなかった。逆に、昨日までの痛みが全然なくなり、おかしな感じ。

この「抜歯による不快からの早すぎる回復」は、私が強いからなのか。あるいは、年をとって鈍くなっているからなのか。

 

いずれにしても、問題は、この後どうするか。

悩ましい選択肢を提示されたが、いずれにしても歯茎が固まるまでしばらく放置。

3日間、クラリスロマイシンを飲まなければならないので禁酒。

そして今日は、激しい運動、湯船につかるはダメ。

いい機会と捉えて、早く寝ることにする。

 

 

 

 

 

 

 

口外に 出された欠片に 想い馳す

鞠子

 

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