スイミングのサウナで寝転がって本を読んでいたら、レッスンを終えた子どもたちが3人、入ってきた。

 

彼女らとはときどきサウナで一緒になる。

学校の話や友だちの話、恋バナなんかもしたりするので、興味津々の私はいつも仲間に入れてもらっている。

全員小学生なのだが、学年も違うし学校も違う。どうやら、一番年長の子が低学年の面倒をみるというふうになっているらしい。

 

今日は、入って来るなり「何の本を読んでいるのか」と聞かれた。

とてもじゃないが、彼女らに教えられる本ではない。困った私はとっさに、「みんなは今、国語で何をやっているの」と聞き返した。

 

『お手紙』

『くじらぐも』

『ちいちゃんのかげおくり』

 

彼女らが即答したのでびっくりした。と同時に、すごくうれしくなってしまった。

文系の科目は即戦力にならぬと軽視されがちな昨今、捨てたもんじゃないではないか。

 

ところでこの3作、私は全然知らない作品だった。

家に帰ってから、ネットで調べてみた。

…泣けた。泣ける作品ばっかり。

あの子たち、こういう作品を読んでどう感じるのだろうか。

 

ちなみに、私がサウナで読んでいたのは細井和喜蔵『奴隷』。

いわゆる女工哀史。紡績工場の労働者を全く人扱いしないどころか、機械の部品以下のむごい実態。

彼女らにこれをどんなふうに説明すればいいのか、私は全く言葉が出ず、話題をすり替えてしまった。

本当は、何とかかみ砕いて少し教えてあげればよかったんだよな、きっと。

何がきっかけになるかわからないもん。

現に、今日の私が『お手紙』『くじらぐも』『ちいちゃんのかげおくり』を知ったように。

 

 

 

 

 

 

 

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鞠子

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