昨日、定期健診で歯科へ。
ちょっと早めに着いたのだが、そのときちょうど、会計をしているおじさんがいた。
お金を払い終えたあと、会計スタッフが「次回は3か月後で……」と言うので、ははん、このお方も私と同じ周期で定期健診しているのだな、と思った。
ところがおじさん、
「3か月後は、まあ、いいです」
と言うではないか。
一瞬、今から3か月後の予約を入れたって、何か別用が入るかもしれないではないか、ということでお断りになったのかと思ったが、どうやらそうではなかった。
「来るの、面倒だから」
そう付け加えになったのである。
スタッフが、「歯石除去とか歯周病とか、定期的にチェックをされた方がいいですよ」と言っても、「そうですね。した方がいいですよね。でもいいです」と、静かに、でも頑強に予約を入れるのを否定した。スタッフは仕方なさそうに、「じゃあ11月か12月に、また電話してください」と引き下がった。
歯は絶対的に「定期的に診てもらった方がいい」主義の私としては、全く信じられないおじさんの反応だった。
なにしろ私の母は、四六時中、さんざん、歯に苦しめられていた。今の私の年くらいで、自分の歯は一本もなかったはずだ。その娘だから、私も、歯の質・歯並び・歯の形、ともにひどい。だけど今、かろうじて母のようになっていないのは、ひとえに「定期的に歯科に通っているからだ」と信じている。
おじさんくらいの年になればなおのこと、歯は大事にすべきだ。それを、面倒だ、なんて、全く気が知れない。
ま、他人の歯がどうなろうと、どうでもいいのだが。
でも、やっぱりなんか釈然としない。
もう定年退職してるみたいな感じのおじさんなのに、3か月に1回が面倒だ、なんて、アリか?
せいぜい1時間程度ですむことなのに、なんで拒否る???
11月になって電話をするより、今、予約しておいた方が安心だし、それでもどうしても嫌なら、直前に断るだけのことじゃん。
…といろいろ考えているうちに、ハッとひらめいた。
そうか、このおじさん、歯科を変るつもりかもしれぬな。
今や、最新鋭の機器を備え、ホテルみたいな待合室があり、無痛で治療します、みたいな歯科があちこちにある。
そうだ、きっとそういう歯科に、変わるつもりなんだ。
釈然としなかった心の霧がはれて、すっきりした。
ほんと、どうでもいい他人事なのに、私もよっぽどヒマな人だ。
歯を磨き 清める幸せ かみしめる
鞠子