私の職場の四方は田や畑に囲まれている。
田植えも終わり、稲の緑がきれいなのだが、なぜだか東側の田だけ、何もされないまま放置されている。
おかしいな、減反か。不思議でならなかった。
よそ様のこと、余計なお世話なのだが、昼前、菓子折を持ってあいさつに来た建築会社の男の人3人がその謎を解いてくれた。
「有料老人ホーム&デイサービス」が建つらしい。
さっそく来月から、工事が始まるのだそうだ。
え? こんなところに老人ホームが? 私の職場のま隣だよ、ま隣。
……一瞬、動揺してしまった。
築50年を超えたわが家は、今後、修理だ保全だと、ますますカネがかかるに決まっている。
いっそ、隣のホームに越して、可能な限り、今の職場に居座って働く、というのはどうか。
もし、何かあれば、ホームのスタッフはもちろん、職場のスタッフもほってはおかないだろう。ちょっとした買い物や通院、銀行での入出金時など、職場のヤカラたちは快くアッシーしてくれるはずだ。
今、私が抱える不安の一つ、「体動が不自由になったらどうすればいいのか」が、これで相当解決するではないか。
いゃあ、これ、あながち空想上の話でもなさそうな気がしてきた。
…なんて、ムシがよすぎるか…
菓子折を 見つめて未来を 想像す
鞠子