銀行から毎月送られてくる月報に、地元大学病院の小児科教授が寄稿していた。

大学病院の小児科、と言えば、難病や他に例のない特別な病を扱っているというイメージなのだが、先生は「何万人に一人という難病のお子さんから気管支炎や肺炎といった病の子まで診ています」と説明している。
また日本小児学会は、「小児科医は子どもの総合診療医である」と宣言しているのだそうだ。
確かに、子どもも大人も病は複合的な側面があり、素人が考えても「肩こり」→「歯痛」→「消化不良」→「胃痛」といった連環など、簡単に理解できる。その間に「ストレス」なんかも入ったりする。だから胃の治療ばかりしたって意味がない。整形外科・歯科・消化器内科・精神科と診てもらわなければ治癒しないかもしれない。

そういう意味でも、多数の診療科を備える総合病院は意味がある。
だが、この手の病院、いきなりは診てもらえない。開業医の紹介状がいる。それがなければ延々待たされ、かつ、検査費以上の初診料(に相当するもの)を取られる。
ま、「ほっておけば治る」程度で大病院に来られると困るから、こういう人を除外するために、検査費以上の初診料を取るようになったのだと思う。

…のだが…

小児科教授、最後に囲みでこう書いてらっしゃるのである。

「ぜひ、お子さんやお孫さんなどの症状で心配なことがありましたら、開業の先生方に大学病院への紹介をお願いしてください」

え? 大学病院を名指ししろって? 
この寄稿文、もしかして営業目的?
そうかぁ、営業かぁ。営業しなくちゃならないのか。
軽微な病の人が押し掛けても困るが、かといって患者が来なくても困る。財政面はもちろん、研究の上でも困るんだろう。
だけどなぁ、こうストレートに営業文言、書かれると。
正直、笑えた。
命を預かる仕事も、意味のないアンケート入力に明け暮れる仕事も(←これ、今の私)、なんて俗。
結局、いずこも同じなんだな、って。