村上春樹さんがイタリアの文学賞を受賞し、記念講演を行った。
何日か前の新聞に、その講演要旨が掲載されていた。
村上春樹のファンはものすごく多いと思うが、私自身はそれほどでもない。まだ短編なら、心魅かれる作品がいくつもあるが、長編だと最初に読んだ『ねじまき鳥クロニクル』についていけず、以後トラウマにより敬遠。
ただ、講演は面白い。前にエルサレム賞受賞の際のスピーチも面白かった記憶がある(←そのくせ内容を覚えていないこの情けなさ)
さて、今回の記念講演『洞窟の中のかがり火』も魅力的。心魅かれるところ、多々あり。
○小説の書き方
「前もって計画を立てない。まず数ページ書く。この時点では、物語の筋はほとんど考えない。頭に浮かんだ情景やイメージを描写する。地下水が地上に湧き出てくるように、僕自身の深い部分から自然とわきあがってくるものを」
これを聞いて、思った。
「幼児になって書く」
幼い子は、見たまま、聞いたままを素で受け入れる。人の評価も判断も気にしない。その結果、大人には見えないものが見える。これは表現する仕事の人にとって、とても重要なことだと思うが、実際、今さら幼児になるのは無理。だが、できるだけ、何物にも毒されないピュアな感性を一番大事にしている、ということなのではないだろうか
○芸術家の究極の目的
「自分自身の内部に深く下りていくことだと思う」
自分の無意識の領域にアクセスできるから自由に小説を書くーーこれはすごくよくわかる。
大変おこがましいが、この程度の私ですら、書いているうちに、今まで気づかなかった自分の意識に気づいたりする。書いた結果、自分の心中が整理できたことに気づいてハッとしたりすることがある。
○音楽との関わり
「僕の書き方は、ジャズに即興演奏から大いにヒントを得ているかもしれません」
村上さんの創作活動は、ジャズが原点になっている。テーマ、展開、リズム、メロディetc. ジャスに傾倒したからこそ。
音楽と文学との関わりは、大変おこがましいが、この程度の私ですら(←さっきから、このフレーズがたびたび)とてもとってもよくわかる。
○小説の起源は、人間が洞窟に住んでいた古代にまでさかのぼる。
「仲間と一緒に洞窟に隠れ、身を寄せ合って長い夜を過ごしていた。小さなたき火が燃えている中、誰かが物語を語り始める」
そうして物語が発展していった。聞きながら、皆、恐怖や空腹を忘れ、明日、また太陽が昇るまで希望へとつなげていった。
なるほど、小説の起源とはこれなのか。
最後にもう一度、大変おこがましいが、この程度の私ですら、洞窟の中、言葉が・物語が、どんなに人々の心を救ったか、十分想像できる。
…村上春樹講演会があるなら、ぜひ行きたい。
何日か前の新聞に、その講演要旨が掲載されていた。
村上春樹のファンはものすごく多いと思うが、私自身はそれほどでもない。まだ短編なら、心魅かれる作品がいくつもあるが、長編だと最初に読んだ『ねじまき鳥クロニクル』についていけず、以後トラウマにより敬遠。
ただ、講演は面白い。前にエルサレム賞受賞の際のスピーチも面白かった記憶がある(←そのくせ内容を覚えていないこの情けなさ)
さて、今回の記念講演『洞窟の中のかがり火』も魅力的。心魅かれるところ、多々あり。
○小説の書き方
「前もって計画を立てない。まず数ページ書く。この時点では、物語の筋はほとんど考えない。頭に浮かんだ情景やイメージを描写する。地下水が地上に湧き出てくるように、僕自身の深い部分から自然とわきあがってくるものを」
これを聞いて、思った。
「幼児になって書く」
幼い子は、見たまま、聞いたままを素で受け入れる。人の評価も判断も気にしない。その結果、大人には見えないものが見える。これは表現する仕事の人にとって、とても重要なことだと思うが、実際、今さら幼児になるのは無理。だが、できるだけ、何物にも毒されないピュアな感性を一番大事にしている、ということなのではないだろうか
○芸術家の究極の目的
「自分自身の内部に深く下りていくことだと思う」
自分の無意識の領域にアクセスできるから自由に小説を書くーーこれはすごくよくわかる。
大変おこがましいが、この程度の私ですら、書いているうちに、今まで気づかなかった自分の意識に気づいたりする。書いた結果、自分の心中が整理できたことに気づいてハッとしたりすることがある。
○音楽との関わり
「僕の書き方は、ジャズに即興演奏から大いにヒントを得ているかもしれません」
村上さんの創作活動は、ジャズが原点になっている。テーマ、展開、リズム、メロディetc. ジャスに傾倒したからこそ。
音楽と文学との関わりは、大変おこがましいが、この程度の私ですら(←さっきから、このフレーズがたびたび)とてもとってもよくわかる。
○小説の起源は、人間が洞窟に住んでいた古代にまでさかのぼる。
「仲間と一緒に洞窟に隠れ、身を寄せ合って長い夜を過ごしていた。小さなたき火が燃えている中、誰かが物語を語り始める」
そうして物語が発展していった。聞きながら、皆、恐怖や空腹を忘れ、明日、また太陽が昇るまで希望へとつなげていった。
なるほど、小説の起源とはこれなのか。
最後にもう一度、大変おこがましいが、この程度の私ですら、洞窟の中、言葉が・物語が、どんなに人々の心を救ったか、十分想像できる。
…村上春樹講演会があるなら、ぜひ行きたい。