ナミダのクッキングNo.2440 | 鞠子のブログ『ナミダのクッキング』

鞠子のブログ『ナミダのクッキング』

今日、ちょっぴり悲しかったこと…

朝刊に「朝三暮四」という中国の故事について書かれたものを目にした。
この言葉、情けないことに、見たことはあるが意味は知らなかった。当然、使ったこともない(←ネットで調べると、〈超がつくほど有名な言葉〉と説明してあったりして、ますますガックリだが)。

このチョウサンボシとは、「目先の利益ばかりにこだわって全体が見えていないため、結局は同じであるのに気づかない愚かさ」という意味なのだそうだ。その出典は、「サルに栃の実を朝3つ、夜4つ与えると言ったら怒ったが、じゃあ朝4つ、夜3つと言ったら喜んだ。合計は7つで変わらないのに。バカなおサル」ということらしい。

…とここまで読んで、なるほどぉ、たった漢字4文字でうまく表しているわ、と感心したのだが、筆者は、さらに感動のツッコミを入れていた。
ずばり、「いや、このサルはバカじゃない。むしろ合理的だ」という主張なのだ。なぜなら、朝から夜の間に何が起こるかわからない、だから「もらえるうちにたくさんもらっておく方が合理的だ」。
さらにもう一歩、ツッコんでいらっしゃるのは、「むしろ愚かなのは、栃の実を与える人間の方だ」ということ。「どうせ7つ与えるならいっぺんに与えろ、朝夜、3つと4つを入れかえてサルをいい気にさせるなんて、小賢しいではないか」と。

――筆者殿、高校生の時、要旨このようなことを書いて×だったそうだ。

この故事、実際は、飼い主が自分たちの食事を削ってまでサルに栃の実を与えていたという深い信頼関係が前提にあったということなので、人間もサルも「愚かだ」などと単純に片付けられない背景があり、筆者のツッコミはちょっと的が外れているのだが(←ご本人がそう記している)、そんなことより「高校生の時のこの感性」にとても感動した。何と言ったって、古くから言い伝えられた超有名な言葉を「疑ってかかる」という姿勢がすごいと思うのだ。その主張が間違っていようと、事実、私はたった4つの漢字が持つ意味の深さと同レベルで、この人の反論にもうなずいた。

ふだんから「物事、疑ってかかれ」、つまり「自分なりに考えろ」と自身に言い聞かせているつもりなんだけど、さっさとスルーしてしまっているものがいかに多いことか。特にそれが「権威あるもの」だったり、「世間に流布しているもの」だったりすると、鵜呑みにして通り過ぎている。

これこそ、「全体が見えていない」。
まさに愚か。