ナミダのクッキングNo.2292 | 鞠子のブログ『ナミダのクッキング』

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今日、ちょっぴり悲しかったこと…

お芝居の醍醐味とは何か。
好きな俳優さんをナマで観られること。
だが、それだけじゃないはず。他に何があるのか。実はあんまりわかってない気がしてきた。

昨夜、観た舞台は『市ヶ尾の坂―伝説の虹の三兄弟』。


何といっても大森南朋さまが主役だから、勤務時間終了後、ダッシュで隣県まで出かけたのである。
作・演出が岩松了さん。南朋さん以外にも、麻生久美子さんとか三浦貴大さんといった、よく知っている俳優さんが登場し、それは十分楽しめた。
だがこの作品、ストーリーがなんだかよくわからないまま終わってしまった。

市ヶ尾の坂にある古い家に暮らす三兄弟がいて、この三人は、画家の奥さんになんとなく好意を抱いていて、この画家夫婦には先妻の子どもがいて…という状況下、三兄弟・画家の奥さん・その家の家政婦・画家が、会話したり言い争いをしたり、けんかしたりする、という内容。
観終えたあと、「え? それで、何?」と思ってしまった。

俳優さん1人1人の演技は確かにすごいのである。
だが、リアルな日常をリアルな人が演じるので、逆にリアルじゃないところが気になってしかたがない。
例えば、冒頭から「この奥さんは、なぜ、他人の家に上がり込んでいるのだろう」とか、「家政婦や画家が、なぜこの家にやってくるのか」とか。

歌舞伎の場合、初めから「オールつくりもの」なのである。
人自体も、あえてつくりものと化して登場する。素顔を見せず、表情を出さず、目の力だけで表現する。
切腹も、首切りも、ラブシーンも全部いかにもつくりもの。
あげく、最後は必ず何らかの決着をみる。
だから、誰かが家に入り込んでも、悲劇の傾城がこれ見よがしに衣装をひけらかそうとも、なんら気にならないのだ。
オペラにいたっては、音楽に魅了されるので、やっぱりストーリーは二の次になる。

なんとも情けない観後感ではあるが、南朋さまファンには変わりなく、次の機会にもまた、観に行くし。
そのうち、多少は芝居の醍醐味もわかるかもしれないし。
 



 
なんであれ楽しく過ごす時を得る
鞠子