ナミダのクッキングNo.2265 | 鞠子のブログ『ナミダのクッキング』

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今日、ちょっぴり悲しかったこと…

今日は名古屋フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会〈文豪シリーズ〉へ。
今回のテーマは、例のバイロン『マンフレッド』。

古い古い文庫本を手に入れて、事前に読了。
かなり急いで読んだため、浅薄な解釈かもしれないが、この作品、ズバリ「究極の苦悩」なのである。
苦悩に対峙する、心の叫びなのである。

アルプスのユングフラウ城主であるマンフレッドは、愛する人をなくした。
そのことに、それこそ「死ぬほど」苦しみ、「死ぬほど」自分を責めている。

彼の望みはただひとつ、「その記憶が消えること」。
だが精霊たちですら、「忘却だけは与えられない」という。

絶望。
マンフレッドが救われる道はない。
ならば、この苦悩から逃れるためには…
そう、まさしく「死」。

…で、今日、演奏された、チャイコフスキー『マンフレッド交響曲』。
もう、正直に言っちゃうと、号泣してしまった。

アルプスの山中を、苦しみに苛まれ、彷徨するマンフレッドの姿が目に見えるようだったから。
そうかと思うと、美しい自然やのどかな風景が見え、そのせいで、マンフレッドの苦悩がより悲劇として伝わってきたから。
いよいよ「死」が目前に迫ったとき、狂ったような高揚から一気に静まる音楽が、あまりに残酷だったから。

名フィルのメンバーさんたちも、曲が憑依したかの如くの演奏…

原作を読んでから映画を観る(あるいはその逆)という楽しみ方はよくわかるが、音楽だとそれ以上に「想像の楽しみ」が得られると、この文豪シリーズで初体験した。
急いで読んだ『マンフレッド』だったが、今日の演奏で何倍にも深くなった。

さて次回は6月。作品はトルストイ『戦争と平和』。
この超有名な作品、しかし読んだことがない。
なんといっても分厚い文庫本で、それも1から4まである。
登場人物総勢559名(--;)
読みきるのは限りなく不可能。
だが、「読んでから聴く」魔力は捨てがたく、とりあえず、1だけ購入して帰ってきた。




音楽は人生そのものなのよねえ
鞠子