演奏会に行って、もらうパンフレットを見ると、出演者は大抵ものすごい経歴がついている。
何とか芸術大学首席卒業、何とか国際コンクール入賞、何とか国の何とか大学留学、何とか先生に師事…
公に出す以上、詐称ではないだろう。
だが、演奏を聴き、本当にそうなのか?と疑問に思うのは、やはり、私の耳がドシロートだからなのだろうか。
…と悩んでしまうほど、今日の演奏会はハズレだった。
モーツァルトのオペラアリアを聴いたのである。
歌い手は、特に女性の方が有名人。
正直、私もこの人狙いで行った。
だが、演奏会を企画したのは伴奏者であるピアニスト。
で、この人の演奏が……
冒頭、『フィガロの結婚』序曲をピアノでソロ演奏。
これが、私としては信じられない表現だったのだ。
音がネバい、ネバい。
もしかして、ペダル、踏みっぱなし?
いわば、ずーっとエコーが効いている感じ。
『フィガロ…』の序曲って、もっと軽やかで、生き生きとして、愉快じゃなかったか?
…以降、気になって仕方がない。
ペダル、踏みっぱなのか?
いつ、足を上げるのか?
残念ながら、私の視力では、明確に確認できない。
歌が入っても、伴奏がやっばりネバい。
「休符の音」が全く感じられない。
歌は切れてるのに、ピアノ音だけが未練がましく残る。
こうやって弾かれたら、さぞ歌いにくいのではないか。
もう、目も耳も、ペダルに釘付け。
歌は全く耳に入ってこなくなってしまった。
でも、
最初に言った通り、このピアニスト様、ものすごく華々しい経歴の持ち主なのである。
大学で教鞭もとっておられる。
あちこちの有名オケと共演してらっしゃる。
プロフィルを読めば読むほどすごすぎて、「やっぱり己の耳が間違っているのか」と混乱している。
肩書きか好悪かどちら信じるか
鞠子