今日は、ダン・タイ・ソンのピアノリサイタルへ。

今からウン十年前、地元で初めてダン・タイ・ソンのピアノを聴いたとき、「ピアノ」に対する概念がガラリと変えられてしまった。
肉厚の大きな葉の上を、透明な水玉が自由に転がるような音。
ピアノでこんな音を出す人がいるんだ…と、いたく感動した。

ダン・タイ・ソンを聴くのは、以来2度目。
だから、ものすごく期待していたのである。

…が、だ・が・し・か・し…

時は、ピアノの音を変えてしまう。
同時に、聞き手の私の耳も変えてしまう。

超技巧・ステージ上の雰囲気・華・スケール…十分楽しめた。
一言で言えば、「老成した」。
でも、あのとき聴いた「葉の上を右に左に転がる水玉」は、数えるくらいしか感じられなかった。
ドシロートに勝手なことを言わせていただけるなら、ペダルがかなり重苦しく感じられたのだ。
そしてあまりに情熱的で、取り残されてしまった。

昨日は、オペラ『トスカ』を聴いた。
面白かったけど、ボリューム満点。
今日は、ピアノソロでシューベルト、ショパン、リスト。
だから、クールダウンして心が穏やかになるか…と思ったが、甘かった。

なんだかね、やっぱりね、BACHのカンタータの方が落ち着くわ。
小説なら、気になるのは「情熱的な男や女」ばかりなのに、音楽は逆。

私も相当カワッテイル(--;)(--;)





ピアノから音があふれて充ち満ちる
鞠子